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定尺材とは?サブロク・シハチの実寸と、呼称で管理してはいけない理由

「サブロクを2枚頼んどいて」。この一言で通じてきた現場ほど、在庫表を作った途端に数が合わなくなります。呼称は人と人の間では通じますが、台帳の中では同じ呼称が別の寸法を指してしまうからです。定尺材は板金加工の材料費のほとんどを占めており、数え方を間違えると欠品と持ちすぎが同時に起きます。本記事では、定尺材とは何か、よく使う呼称と実寸のずれ、呼称で管理したときに起きる取り違え、mmを管理キーにする理由、引き当て可能な残り枚数の見方、欠品予定と安全在庫割れの違い、そして持ちすぎが止めている資金の金額までを扱います。

定尺材とは何か

定尺材とは、あらかじめ決まった寸法で切られて流通している板のことです。板金加工では、この定尺材を仕入れて、必要な形に切り出して使います。決まった寸法で作られているので価格が安定し、在庫として持ちやすく、必要なときにすぐ手配できます。市中在庫として流通量が多いため、急ぎの仕事でも入手しやすいという利点もあります。

定尺材の反対にあるのが、寸法を指定して切ってもらう材料です。必要な大きさぴったりで仕入れれば無駄は出ませんが、手配に時間がかかり、単価も上がります。個別受注で多品種を少量ずつ作る会社では、定尺材を持っておいて社内で切るほうが早くて安くなる場面が多くなります。

定尺材の管理が難しくなるのは、板が1種類ではないからです。同じ大きさの板でも、材質が違えば別物です。板厚が違えば別物です。表面の処理が違えば別物です。この3つの掛け合わせで、扱う品目の数は簡単に数十になります。「板が何枚あるか」という数え方では、必要な板が何枚あるのかが分かりません。

さらに、定尺材は端材の供給源でもあります。定尺材から切り出せば必ず残りが出ます。残った板は端材として棚に入ります。定尺材の在庫と端材の在庫は別々の台帳になりがちですが、実際には同じ材料の別の姿です。片方だけを見て判断すると、もう一方が膨らみます。

定尺材の管理でやるべきことは、突き詰めれば3つです。何をどれだけ持つかを決めること、今どれだけ約束できるかを正確に把握すること、そして無くなる前に手配することです。この3つのどれもが、材料をどう識別しているかに依存します。識別が曖昧なままでは、あとの2つが成り立ちません。

定尺材を持つか持たないかも、会社によって考え方が分かれます。都度手配で回している会社は、在庫を持たない代わりに、手配のたびにリードタイムを待ちます。急ぎの仕事が入ったときに受けられません。在庫を持つ会社は、その分の資金が止まりますが、引き合いに即答できます。どちらが正しいという話ではなく、自社がどちらの強みで戦うかの選択です。

多くの中小の板金加工業は、その中間を取ります。よく使う数品目だけを在庫として持ち、それ以外は都度手配する。この形が機能するかどうかは、「よく使う数品目」を正しく選べているかで決まります。感覚で選ぶと、実際にはあまり使わない板が棚を占め、よく使う板が切れます。過去1年の出庫実績を品目ごとに並べれば、選ぶべき品目は数字で決まります。

在庫を持つ範囲を決めたら、次に決めるのは記録の粒度です。何をどこまで台帳に持つのか。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、あとから項目を足すことになり、既存の行に値が入らないまま残ります。台帳の項目は、運用を始める前に決めきってください。

よく使う呼称と実寸

現場では、定尺材を呼称で呼びます。サブロク、シハチ、ゴットウ。これらは板の大きさを尺で表した言葉が短くなったもので、板金だけでなく木材や樹脂板の世界でも同じ呼び方が使われています。3尺×6尺でサブロク、4尺×8尺でシハチ、5尺×10尺でゴットウ、という具合です。

ところが、実際に流通している寸法は、尺から換算した値とぴったり一致しません。1尺を303ミリとして計算すると3尺は909ミリになりますが、実際のサブロクは914ミリです。この5ミリの差は、呼称と実寸が別の由来を持っていることの表れです。

日本鉄鋼連盟が公開している普通鋼鋼材の受注寸法一覧表では、厚中板について次の組み合わせが並んでいます。

呼称と実寸(日本鉄鋼連盟「普通鋼鋼材受注寸法一覧表」厚中板の欄より)
呼称 実寸(mm) 尺から換算した値との差
3×6(サブロク) 914 × 1,829 909 × 1,818 との差は 5 mm と 11 mm
4×8(シハチ) 1,219 × 2,438 1,212 × 2,424 との差は 7 mm と 14 mm
4×10 1,219 × 3,048 1,212 × 3,030 との差は 7 mm と 18 mm
5×10(ゴットウ) 1,524 × 3,048 1,515 × 3,030 との差は 9 mm と 18 mm
5×20 1,524 × 6,096 1,515 × 6,060 との差は 9 mm と 36 mm

この表は、日本鉄鋼連盟の受注寸法一覧表のうち厚中板の欄に掲載されている組み合わせです。同じ表の中でも、メーカーによって受注できる寸法の範囲が異なります。すべての薄板、すべての材種、すべての仕入先に共通する寸法ではありません。ステンレス、アルミ、表面処理鋼板では別の寸法体系で流通していることがあります。自社が実際に仕入れている板の寸法は、仕入先の規格表か納品書で確認してください。

呼称と実寸の差が数ミリから数十ミリある、という事実だけを押さえておけば十分です。この差が、材料が足りるか足りないかの分かれ目になります。6メートル級の板では差が36ミリまで開きます。部品を並べて取るときに、この36ミリで1個分の取り数が変わることがあります。

呼称が尺で言われるのに実寸がそれと合わないのは、板の流通が尺以外の単位を基準にしてきた歴史があるためです。理由の詳細を追う必要はありません。実務で必要なのは、呼称から換算するのではなく、実際の板の寸法を数値で持っておくことだけです。

自社の板の寸法を確認する方法は3つあります。1つめは、仕入先の規格表を取り寄せることです。2つめは、納品書に記載された寸法を見ることです。3つめは、実際に棚の板を測ることです。3つが一致していれば、その値を台帳の基準にできます。一致しなければ、どれが正しいのかを仕入先に確認してください。

寸法には許容差があることも押さえておきます。1,219ミリと書かれた板が、実際にぴったり1,219ミリとは限りません。規格の範囲内でわずかに前後します。ぎりぎりの取り数で計画を立てると、許容差の分で1個取れないことがあります。取り数を詰める場面では、公称値そのままではなく、少し余裕を見た値で計算してください。

呼称で管理すると起きる取り違え

呼称は便利です。短く、口に出しやすく、現場で通じます。問題は、呼称が指す実寸が、話し手と聞き手で一致している保証がないことです。

起きる取り違えは、大きく4つに分かれます。

1つめは、呼称から換算した値で計算してしまう取り違えです。サブロクを909×1818だと思って取り数を計算し、実際には914×1829の板が届く。この場合は板のほうが大きいので実害は出にくいのですが、逆のパターンもあります。仕入先が別の寸法体系の板を「サブロク」として納入していた場合、計算した取り数が取れません。

2つめは、呼称が同じでも板厚が違う取り違えです。「シハチが5枚ある」という報告には板厚が入っていません。t1.6が3枚とt2.3が2枚だったとして、必要なのがt2.3なら実際に使えるのは2枚です。5枚あると聞いた人は足りると判断し、当日になって足りないことが分かります。

3つめは、材質が違う取り違えです。板厚と同じ構造です。呼称は大きさしか表していないので、材質の情報が落ちます。冷間圧延と熱間圧延、鋼とステンレス。見た目で区別できる場合もありますが、台帳の上では区別されません。

4つめは、聞き間違いです。シハチとゴットウは音が違うので間違えにくいのですが、サブロクとシハチは電話や騒音のある現場では紛れます。数字で言えば3×6と4×8なので明確ですが、口頭で伝わった情報がそのまま台帳に入る運用では、聞き間違いを止める手立てがありません。

4つに共通しているのは、呼称が持っている情報量が足りない、という一点です。呼称が悪いのではありません。呼称は会話のための道具であって、台帳のキーとして設計されたものではない、というだけです。

同じことは、呼称以外の略記でも起きます。「厚板」「薄いやつ」「いつもの」。現場で通じる言葉ほど、台帳に入ると情報が落ちます。台帳が持つべきなのは、その言葉を知らない人が読んでも同じ板にたどり着ける情報です。新しく入った人が台帳を見て板を探せるかどうかが、台帳の完成度の目安になります。

取り違えの怖さは、発覚が遅いことにあります。台帳の数字が間違っていても、その場では何も起きません。発覚するのは、その板を実際に使おうとした日です。多くの場合、それは納期が迫っている日です。手配のやり直しが最も高くつくタイミングで、間違いが表に出ます。

もう一つ厄介なのは、取り違えが起きても原因が特定されにくいことです。「材料が足りなかった」という結果だけが残り、なぜ足りないと分からなかったのかは追及されません。次も同じことが起きます。足りなかった件数を、原因別に数えるところから始めてください。呼称の取り違えなのか、引き当ての漏れなのか、単純な数え間違いなのか。原因が分かれば、打つ手が変わります。

呼称の問題は、社外との会話でも起きます。仕入先に「サブロクを3枚」と発注したとき、仕入先が想定している寸法が自社と同じとは限りません。発注書には必ずミリの数値を書いてください。電話で呼称を使うのは構いませんが、記録として残るものには数値を残します。届いた板の寸法が想定と違ったとき、数値が書いてあれば話が早く済みます。

在庫表を紙やExcelで運用している会社では、行の追加が自由にできることも取り違えの温床になります。同じ品目が2行に分かれて登録され、片方だけが更新される。合計すると実際より多く見え、片方だけを見ると少なく見えます。同じ品目が2行に存在できない形にしておくことが、正確さの前提です。

管理キーはmm。呼称は入力補助にする

解決策は単純です。台帳の管理キーをミリの数値にして、呼称は入力を助けるための別項目として持つことです。呼称をなくす必要はありません。現場から呼称を取り上げれば、会話が回らなくなります。

管理キーの構成は次のようにします。材質、板厚、横(mm)、縦(mm)。この4つの組み合わせで1つの品目とします。表面処理がある材料では、それも加えて5つにします。この組み合わせが同じ板だけが、同じ品目として1行にまとまります。

呼称は、この品目に付ける表示名として持ちます。「4×8」「シハチ」という文字列を入力すると、対応する1,219×2,438が自動で入る。入力する側は呼称で打ち、台帳に入るのはミリの数値です。入力の速さと台帳の正確さは、両立できます。

呼称を入力補助にすると、もう一つ効果があります。呼称と実寸の対応表が社内に1つだけ存在することになります。「うちのサブロクは914×1829」と決めたら、その定義が全員に共有されます。人によって別の値を思い浮かべている状態が解消されます。

この対応表は、新しく入った人への説明にもそのまま使えます。呼称を口伝えで覚える段階を飛ばして、最初から数値と一緒に覚えてもらえます。呼称と数値をセットで教えれば、勘違いのまま数年働く人が出ません。技能の引き継ぎというと大きな話に聞こえますが、その第一歩はこうした対応表を1枚作ることです。

検索も、計算も、すべてミリで行います。端材から取れるかを判断するときも、重量を出すときも、金額を出すときも、使うのは数値です。呼称のままでは、収まるかどうかの判定も、重量の計算もできません。

実務では、仕入先ごとに呼称の指す寸法が違うことがあります。その場合は、呼称を1つに統一しようとしないでください。仕入先Aのサブロクと仕入先Bのサブロクが違う寸法なら、それは別の品目です。ミリで管理していれば、呼称が同じでも別々の行として正しく管理されます。呼称を統一しようとすると、実態のほうを歪めることになります。

横と縦をどちらに入れるかも決めておきます。1,219×2,438と2,438×1,219では、数値としては別の並びです。短いほうを横、長いほうを縦、というように順序を固定してください。順序が人によって違うと、同じ板が2つの品目として登録されます。この決めごとは、端材の台帳とも揃えておく必要があります。

目方向のある材料では、横と縦の順序が加工の可否に関わります。目の向きが縦なのか横なのかを別の項目として持っておけば、順序を固定しても情報は失われません。寸法の順序は台帳の都合で決め、加工の条件は別の項目で持つという分け方にしてください。

呼称を入力補助として持つときは、1つの品目に複数の呼び名を登録できるようにしておくと便利です。「4×8」「シハチ」「四八」のどれを打っても同じ品目が出る。現場が使っている言葉を全部登録しておけば、言い換えを覚えてもらう必要がありません。仕組みを人に合わせるほうが、人を仕組みに合わせるより速く定着します。

材質・板厚・表面処理まで含めて1つの品目になる

品目を分ける単位は、細かすぎても粗すぎても困ります。判断の基準は1つで、この2つの板を入れ替えて使えるかどうかです。入れ替えて使えないなら別の品目、入れ替えて使えるなら同じ品目です。

材質が違えば入れ替えられません。強度が違い、溶接性が違い、めっきの乗り方が違います。板厚が違えば入れ替えられません。図面が指定している板厚と違う板で作れば、それは不良品です。表面処理が違えば、外観指定のある製品では入れ替えられません。

だから、材質・板厚・寸法・表面処理の4つを揃えて、はじめて1つの品目になります。「4×8の板」という単位で在庫を数えている会社は、実際には入れ替えられない板をまとめて数えていることになります。

表面処理を品目に含めていない会社は多く、ここが在庫の見誤りの原因になりやすい場所です。黒皮の板とミガキの板を同じ行で数えていると、外装部品に使える枚数が実際より多く見えます。当日になって使える板が半分しかないと分かり、短納期で手配することになります。

逆に、分けすぎるのも問題です。ロット番号ごとに品目を分けると、行数が管理できない数になります。ロット番号は品目を分ける単位ではなく、品目の中で1枚ごとに持つ属性として扱ってください。材料証明の提出が必要な仕事では、この属性を追えることが要件になります。

品目を決めたら、コードを振ります。コードの付け方は、人が意味を読み取れる形にしておくと運用が楽です。材質の記号、板厚、寸法を順に並べるだけでも十分です。コードそのものに意味を持たせておけば、一覧を見たときに何の板かが分かります。意味のない連番にすると、必ず台帳と現物の照合が必要になります。

品目の数は、増やしすぎないほうが在庫は減ります。似た板厚を2種類持つより、1種類に寄せたほうが1品目あたりの枚数が増え、欠品しにくくなります。品目を減らす判断は、設計と加工の両方に関わるので、現場だけでは決められません。経営として決める話です。

品目を寄せる判断の材料は、出庫の実績です。過去1年の出庫を品目ごとに並べて、金額でも枚数でも構わないので上位から累積を取ります。上位の数品目で大半を占めているなら、下位の品目は都度手配に回せます。下位の品目を在庫として持ち続けているうちは、在庫金額は下がりません。

寄せられない品目もあります。特定の客先が指定している材質、法規や仕様で決まっている板厚、代替の効かない表面処理。こうした品目は減らせません。減らせる品目と減らせない品目を先に仕分けてから、減らせるほうだけを対象にしてください。全品目を一律に見直そうとすると、議論が止まります。

品目を統合したときは、統合前の品目コードを残しておきます。過去の実績や見積との突き合わせができなくなるからです。使わなくなった品目は削除するのではなく、使用停止の印を付けて残す。削除すると、過去のデータが参照先を失います。

定尺材と端材は同じ材質マスタでつなぐ

定尺材の台帳と端材の台帳を別々に作ると、必ず言葉がずれます。定尺材の台帳では「SPCC」、端材の台帳では「SPCC材」。人が見れば同じだと分かりますが、検索したときには別のものとして扱われます。

ずれると何が困るのか。端材を探して見つからなかったときに、定尺材から切るしかないと判断します。実際には端材があるのに、表記が違うために検索に出てこなかっただけ、という状況が起きます。材料を余分に1枚開けることになり、その分だけ端材がさらに増えます。

解決策は、材質マスタを1つにして、定尺材も端材も同じマスタを参照することです。材質は選択式にして、自由入力を許しません。板厚も同じです。こうすれば、書き方のばらつきが構造的に発生しません。

同じマスタでつながっていると、材料を探す手順が1本になります。図面から材質と板厚を確定したら、まず端材を探す。無ければ定尺材の在庫を見る。それも足りなければ手配する。この3段階が同じ言葉で回るので、途中で検索し直す手間がありません。

端材の側は、定尺材とは数え方が違います。定尺材は1行が材質と寸法の組み合わせで、枚数を持ちます。端材は1件が1枚の板で、数量の欄を持ちません。数え方が違うのは、性質が違うからです。定尺材は同じものが何枚もありますが、端材は1枚として同じものがありません。数え方を無理に揃える必要はなく、材質マスタだけが共通していれば足ります。この考え方の全体像は定尺材・端材管理のページに整理しています。

つながっていることで得られるものは、もう一つあります。定尺材から切り出したときに、残りを端材として登録する流れが1本になります。定尺材の在庫が1枚減り、端材が1枚増える。この2つが別々の台帳で別々に操作されていると、片方だけが更新されて数が合わなくなります。同じ材質マスタでつながっていれば、材質・板厚・ロット番号がそのまま引き継がれるので、入力し直す必要もありません。

材質マスタには、比重を持たせておいてください。重量と金額を自動で計算するために必要です。比重が入っていないと、端材の金額も定尺材の在庫金額も出せません。材質を登録するときに一緒に入れておけば、あとから全品目を回って追加する手間がなくなります。

キロ単価をどこに持つかも決めます。品目ごとに持つ方法と、材質ごとに持つ方法があります。板厚や寸法で単価が変わる材料なら品目ごと、そうでなければ材質ごとで足ります。単価が未設定のときに勝手な推定値を入れないことが大切です。分からない場合は空欄のままにして、金額が出せないことを画面上で分かるようにしておくほうが安全です。

「何枚あるか」より「まだ約束できる枚数」

在庫表を見て「40枚ある」と分かっても、その40枚を自由に使えるとは限りません。すでに別の案件で使うことが決まっている板が含まれているからです。判断に必要なのは、現物の枚数ではなく、まだ約束できる枚数です。

そこで、在庫を1つの数字ではなく、いくつかの列に分けて持ちます。

定尺材の在庫が持つべき7つの列と、その列が答える問い
列 答える問い 使いどころ
現物 今、棚に何枚あるか 棚卸との照合。金額の算出
引き当て済み 何枚が既に約束されているか 案件との紐づきの確認
引き当て可能残 新しい仕事に何枚回せるか 受注・着手の可否判断。最も見る列
入庫予定 いつ何枚入るか 在庫0枚でも着手できるかの判断
安全在庫 下回ってはいけない枚数はいくつか 持ち方の設計。見直しの基準
欠品予定日 このままだといつ足りなくなるか 手配の緊急度の判断
発注する日 いつまでに手配すればよいか 日々の手配業務の起点

引き当て可能残は、現物から引き当て済みを引いた数です。式にすると、引き当て可能残 = 現物 − 引き当て済み。受注できるかどうか、着手できるかどうかを判断するときに見るのはこの列です。

現物だけを見て判断すると、2つの失敗が起きます。1つは、他の案件で押さえられている板を当てにして受注してしまうことです。当日になって材料が無く、短納期で手配することになります。もう1つは、その逆で、押さえられている板を見て「在庫がない」と判断し、受けられるはずの仕事を断ることです。どちらも、見る列を間違えたことが原因です。

引き当て可能残がマイナスになることも起こり得ます。現物より多く引き当てているという意味で、入庫予定を前提に約束している状態です。入庫が遅れれば、どこかの案件が止まります。マイナスの品目は、入庫予定の日付を必ず確認してください。マイナスであること自体が悪いのではなく、確認されていないことが問題です。

この考え方は、材料だけでなく購入品や部品の在庫でも同じです。在庫の持ち方全般については在庫管理の機能を、材料に絞った考え方は定尺材・端材管理のページをご覧ください。

ここで押さえておきたいのが、引き当てても現物は減らないという点です。引き当ては約束であって、出庫ではありません。板はまだ棚にあります。現物が減るのは、実際に出庫したときです。この2つを混同して、引き当てた時点で現物を減らす運用にすると、棚卸のたびに数が合わなくなります。

もう一つ、在庫が0枚でも引き当てられるようにしておく必要があります。入庫予定があるからです。来週20枚入る予定なら、今0枚でも来月の仕事には引き当てられます。0枚では引き当てられない仕組みにすると、入庫予定を在庫として扱うために架空の入庫を登録する、といった運用が生まれます。回避策が生まれた時点で、台帳の数字は信用できなくなります。

入庫予定の登録は、手入力でも構いませんが、注文書のPDFから読み取れると手間が減ります。ただし読み取った内容は、必ず確認の画面を通してから登録してください。品名や枚数の読み違いがそのまま入庫予定になると、入るはずのない板を当てにして計画を立てることになります。

棚卸の扱いも決めておきます。実際に数えた枚数と台帳の枚数が違ったとき、どちらを正とするか。現物が正です。台帳を現物に合わせて修正し、差が出た原因を別に記録します。原因を記録しないと、次の棚卸でも同じ差が出ます。

棚卸のあいだ現場を止めるかどうかも問題になります。止めれば正確に数えられますが、その日の生産が落ちます。止めなければ、数えている最中に入出庫が発生して数が合いません。数えている間も入出庫を続けられて、あとから差分を反映できる仕組みにしておくと、現場を止めずに実棚が取れます。中小の会社ほど、生産を止めずに数えられることの価値が大きくなります。

引き当ての運用で一つ決めておきたいのが、いつ引き当てるかです。受注した時点なのか、生産計画に乗せた時点なのか、加工の直前なのか。早く引き当てるほど、約束の重複は防げますが、実際には使わなかった引き当てが残りやすくなります。引き当てを解除する手順を必ずセットで決めてください。解除の手順がないと、引き当て可能残が実態より少ない状態が常態化します。

欠品予定と安全在庫割れは別のこと

在庫の警告が現場で無視されるようになる原因の多くは、安全在庫割れと欠品予定を同じものとして扱っていることにあります。この2つは、意味も、取るべき行動も違います。

安全在庫割れは、今の残り枚数が、決めておいた下限を下回った状態です。下回っていても、まだ板はあります。仕事は止まりません。これは「そろそろ手配を考えたほうがよい」という合図です。

欠品予定は、これから予定されている使用と入庫を並べたときに、残り枚数がマイナスになる日です。その日を過ぎると仕事が止まります。これは「この日までに手配しないと止まる」という期限です。

2つを混同すると、2つの失敗のどちらかが起きます。安全在庫割れを欠品と同じ扱いにすると、まだ余裕があるのに緊急扱いになり、警告が日常的に出続けます。毎日出る警告は、やがて誰も見なくなります。逆に、欠品予定を安全在庫割れと同じ扱いにすると、本当に止まる日が来ても普通の警告として流されます。

2つを分けて表示するだけで、現場の動きは変わります。安全在庫割れの品目は週に一度まとめて見る。欠品予定日が近い品目は毎日見る。見る頻度を分けることが、警告を機能させる方法です。すべてを同じ画面に同じ強さで並べると、優先順位が消えます。

安全在庫割れが常態化している品目があるなら、それは警告ではなく設計の問題です。安全在庫の枚数が実態に合っていないか、手配の頻度が足りていないかのどちらかです。いつ見ても割れている品目は、警告として意味を持ちません。数字のほうを直してください。

行動につなげるには、発注する日を計算します。欠品予定日から調達にかかる日数を引いた日が、遅くとも手配を出さなければならない日です。式にすると、発注する日 = 欠品予定日 − 調達リードタイム。この日を過ぎたら間に合わない、という明確な線になります。

安全在庫の枚数をいくつにするかは、使う量のばらつきと調達にかかる日数から決めます。決め方の詳しい手順は安全在庫の計算方法で扱っています。発注のタイミングを在庫の残りで決める考え方は発注点管理の仕組みにまとめています。

調達リードタイムは、品目ごとに違います。よく使う板は在庫があってすぐ届き、特殊な材質は数週間かかることがあります。全品目に同じ日数を当てはめると、特殊な材料で必ず遅れます。実績から品目ごとの日数を拾って持たせてください。1回の実績ではなく、直近の数回の平均を使うほうが安定します。

年末年始や連休を挟むと、リードタイムは伸びます。カレンダーを考慮しない計算だと、休みの前後で発注する日が実態とずれます。大型連休の前は、通常より前倒しで手配する必要があることを運用として決めておいてください。仕組みで自動的に反映されないなら、人が意識する日を決めるだけでも効果があります。

注意しておきたいのは、安全在庫を大きくすれば安心、という話ではないことです。安全在庫は在庫として持ち続ける枚数なので、そのまま資金が止まります。次の章で見るように、この金額は小さくありません。

安全在庫の枚数は、一度決めたら固定ではありません。受注の量が変われば、使う量も変わります。半年に一度は、実際の使用量と欠品の有無を見て見直してください。欠品が一度も起きていない品目は、安全在庫を減らせる可能性があります。逆に、何度も欠品している品目は、安全在庫が足りていないか、リードタイムの見積もりが甘いかのどちらかです。

定尺材の持ちすぎはいくらの資金を止めているか

定尺材の在庫は、棚に置かれた板の形をしていますが、中身は支払い済みの現金です。買った時点で支払いが発生し、売れて入金されるまで戻ってきません。持ちすぎているということは、その分の現金が棚で止まっているということです。

金額は、次の順で出せます。

  • 1枚の重量(kg)= 横(m)× 縦(m)× 板厚(m)× 比重(kg/m³)
  • 1枚の金額(円)= 重量(kg)× キロ単価(円/kg)
  • 品目の在庫金額(円)= 1枚の金額 × 現物の枚数
  • 在庫日数(日)= 材料在庫金額 ÷(年間の材料費 ÷ 365)

比重は材質で決まります。鋼は約7,850kg/m³、アルミは約2,700kg/m³、ステンレスは約7,930kg/m³が目安です。キロ単価は自社の仕入伝票から拾ってください。市況で動き、材質・板厚・数量・仕入先で変わります。

定尺材の在庫金額と在庫日数の試算(単価・年間材料費は仮の値。自社の実績値に置き換えて計算する)
項目 計算 結果
4×8・t2.3 の1枚の重量 1.219 × 2.438 × 0.0023 × 7,850 約53.7 kg
1枚の金額 53.7 × 150円/kg(仮) 約8,050円
この品目を40枚持つと 8,050 × 40 約32万円
材料在庫の合計が400万円、年間材料費が3,000万円なら 400万 ÷(3,000万 ÷ 365) 在庫日数 約49日
在庫日数を35日にできたら 3,000万 ÷ 365 × 35 = 約288万 約112万円の現金が手元に戻る

在庫日数という指標は、金額の大小を業種や規模に関係なく比べられる形にしたものです。在庫が400万円あることが多いのか少ないのかは、年間の材料費と並べてはじめて判断できます。年間材料費が3,000万円の会社と1億円の会社では、同じ400万円の意味が違います。

この112万円は、利益ではありません。止まっていた現金が動くようになった、という意味です。それでも、資金繰りに効く金額としては小さくありません。同じ金額を利益で作ろうとすれば、どれだけの売上が必要になるかを考えれば、在庫を見直す価値が分かります。

ただし、在庫を減らすこと自体を目的にしないでください。判断は会社全体で見る必要があります。在庫を切り詰めた結果、欠品が増えて短納期の割高な手配が発生したり、機械が止まって納期が遅れたりすれば、浮いた資金より失うものが大きくなります。材料が無くて止まった機械の時間は、二度と取り戻せません。

判断は増分で行います。在庫を減らす場合に、増える費用と減る費用だけを比べます。減るのは、止まっていた資金と保管の場所です。増えるのは、手配の回数、緊急手配になったときの単価差、そして欠品で止まった時間に流せなかった仕事の分です。この比較を品目ごとに行うと、減らしてよい品目と減らしてはいけない品目が分かれます。

この比較には、材料が切れて機械が止まった場合の影響も入れてください。止まった時間は、その日の生産量がそのまま減るという意味です。他の仕事を前倒しして埋められるならまだしも、材料待ちで全体が止まれば、その時間に生み出せたはずの付加価値が失われます。失われた時間は、あとで取り戻せません。在庫を削る話と、止めない話は、必ずセットで考えてください。

もう一つ、仕入の単価も見ておきます。まとめて買えば単価が下がる材料では、在庫を減らすと単価が上がります。単価の差と、止まっていた資金の差を並べて比べてください。単価だけを見て大量に買うのも、資金だけを見て小口にするのも、片側しか見ていない判断です。

減らしてよいのは、動きが遅く、調達が短く、代替が効く品目です。減らしてはいけないのは、毎日使い、調達に時間がかかり、切れると全体が止まる品目です。在庫全体を一律に何割減らす、という進め方が失敗するのはこのためです。品目ごとに性格が違います。

在庫を減らす手段は、枚数を減らすことだけではありません。手配の回数を増やして1回あたりの枚数を減らす、仕入先と話して短いリードタイムを確保する、品目を統合して1品目あたりの枚数を増やす。どの手段を取るかで、増える費用の中身が変わります。手配の回数を増やせば事務の手間が増え、リードタイムを短くしてもらえば単価が上がることがあります。比べるべきはこの増分です。

在庫金額を月ごとに記録しておくと、見直しの効果が数字で追えます。記録がないと、減ったのか増えたのかが感覚でしか分かりません。月末の材料在庫金額を1行ずつ残していくだけで、判断の材料になります。端材の金額も同じ表に並べておけば、どちらかに移っただけの動きも見えます。

もう一つ見ておきたいのが、定尺材の在庫と端材の在庫の合計です。定尺材だけを減らすと、必要な板が無いときに端材から無理に取ることになり、段取りが増えます。逆に端材を減らしすぎると、定尺材を開ける回数が増えます。2つを合わせた材料在庫の金額で見ないと、片方を押した分がもう片方に移っただけ、という結果になります。

Factory Advance での定尺材管理

Factory Advance は、個別受注生産型の中小製造業向けのクラウド型生産管理システムです。定尺材については、1行が材質と寸法の組み合わせで、枚数を持つ形で管理します。端材とは数え方が違いますが、材質マスタは共通です。

  • 画面の列は、現物/引き当て済み/引き当て可能残/入庫予定/安全在庫/欠品予定日/発注する日の7つ
  • 引き当て可能残は、現物から引き当て済みを引いた数。受注や着手の判断に効くのはこの列
  • 引き当てても現物は減らない。現物が減るのは実際に出庫したとき
  • 在庫が0枚でも引き当てられる。入庫予定がある品目を、架空の入庫で登録し直す必要がない
  • 入庫予定は手入力のほか、注文書のPDFから読み取って登録できる。読み取りは必ず確認表を通してから確定する
  • 棚卸の機能がある。数えている間も入出庫は止まらないので、現場を止めずに実棚を取れる
  • 発注そのものは生産管理システム側で行う。この画面が担当するのは、入庫予定の把握と発注する日の目安まで
  • 定尺材と端材は同じ材質マスタを使う。材質と板厚の書き方が2つの台帳でずれない
  • 端材は1件が1枚の板として登録され、数量の欄がない。枚数は行数で数える
  • 端材には「登録日+その日の連番」の在庫番号が自動で付き(例:20260830-013)、QRラベルで現物と結びつく
  • 端材の重量は横×縦×板厚×比重、金額は重量×キロ単価で自動算出される。単価が未設定なら「-」と表示される

この画面が担当する範囲は、意図的に絞っています。発注そのものは生産管理システム側の仕事なので、ここでは行いません。担当するのは、今どれだけ約束できるかと、いつまでに手配が必要かの2つを正確に示すところまでです。手配の実行と、材料の状態把握を分けておくことで、どちらか一方の運用が変わってももう一方が壊れません。

同じ理由で、在庫を自動で予約する動きも入れていません。引き当ては人が判断して行います。自動で押さえる仕組みにすると、現場の判断で使わないと決めた板が押さえられたまま残り、引き当て可能残が実態より少なく見えるようになります。数字を実態に合わせ続けるために、押さえる操作は人の判断に紐づけています。

呼称は入力を助けるためのものとして扱い、台帳に入るのはミリの数値です。検索も、重量の計算も、金額の算出も、すべて数値で行われます。呼称と実寸の対応が社内で1つに定まるので、人によって違う値を思い浮かべている状態が解消されます。

購入品や部品の在庫と合わせて管理したい場合は在庫管理の機能を、材料の在庫全体の考え方は定尺材・端材管理の機能ページをご覧ください。図面と品番の対応を整理したい場合は図番とはもあわせてご覧ください。

材料の在庫を正しく数えられるようになると、変わるのは在庫金額だけではありません。受注の可否をその場で答えられるようになり、手配の遅れによる納期遅延が減ります。導入や機能の詳細はFactory Advance の公式サイトをご覧ください。板金加工業を含む個別受注生産の現場でどう使われているかは、製品紹介資料にまとめています。

まとめ

要点を整理します。

  • 定尺材とは、あらかじめ決まった寸法で流通している板である。個別受注で多品種を少量ずつ作る会社では、持っておいて社内で切るほうが早くて安くなる場面が多い
  • 呼称と実寸は一致しない。3×6は914×1,829、4×8は1,219×2,438で、尺から換算した値とは数ミリから数十ミリの差がある
  • この寸法は、すべての薄板・材種・仕入先に共通ではない。自社が仕入れている板の寸法は仕入先の規格表か納品書で確認する
  • 呼称は会話のための道具であり、台帳のキーにはならない。板厚も材質も表面処理も落ちるので、呼称だけでは必要な板の枚数が分からない
  • 管理キーはmmの数値にし、呼称は入力補助として持つ。入力の速さと台帳の正確さは両立できる
  • 材質・板厚・寸法・表面処理を揃えて1つの品目になる。入れ替えて使えないものは別の品目である
  • 定尺材と端材は同じ材質マスタでつなぐ。表記がずれると、端材があるのに見つからず、定尺材を余分に開けることになる
  • 判断に効くのは現物ではなく引き当て可能残である。引き当てても現物は減らず、在庫0枚でも入庫予定があれば引き当てられる
  • 安全在庫割れと欠品予定は別のことである。前者は手配を考える合図、後者は仕事が止まる期限であり、発注する日は欠品予定日から調達日数を引いて出す
  • 在庫は棚に置かれた現金である。減らすかどうかは品目ごとに増分で判断し、一律に何割という進め方をしない

定尺材の管理は、在庫表を作れば終わる仕事ではありません。呼称と実寸を1つに定め、品目の分け方を決め、引き当てと現物を分けて数え、欠品予定日から発注する日を出す。この一連がつながってはじめて、材料の心配をせずに受注できる状態になります。逆に言えば、どこか1つが欠けているだけで、材料が足りない日は来ます。

まず、よく使う板を1品目選んで、現物の枚数と引き当て済みの枚数を分けて数えてください。

参考文献

端材管理のやり方|板金の端材を1枚ずつ数えて使い切る仕組み

「この板、まだ使えるやつだよな」。棚の前でそう言いながら、結局その日も新しい定尺材を開けた。そんな場面が月に何度もあるなら、問題は現場の意識ではなく、端材が「探せる形」で管理されていないことにあります。端材は在庫でありながら、1枚ずつ形が違い、数量でまとめられず、置き場と台帳が簡単にずれます。本記事では、板金加工業の端材管理について、残す基準の決め方から1枚単位の数え方、台帳と現物の結び方、寸法での探し方、二重取りを防ぐ引き当て、そして眠っている端材の金額換算までを扱います。

端材管理とは何か

端材管理とは、定尺材から部品を切り出したあとに残った板を、次の仕事で使える状態にして保管し、必要なときに見つけ出して消し込むまでの一連の管理を指します。廃棄を減らすための活動と誤解されがちですが、目的は処分量の削減ではありません。目的は、買わなくてよい材料を買わないことと、探す時間を減らすことの2つです。

一般的な在庫管理と端材管理は、扱う対象の性質が根本的に違います。ボルトやワッシャーのような購入品は、同じ品目が同じ形で何個もあります。だから「SUS M8×20 が240本」と数量で管理でき、120本使えば120本減る、という単純な引き算が成り立ちます。端材は違います。1枚として同じものがありません。材質と板厚が同じでも、420×310の板と680×290の板は別物です。前者で取れる部品が後者では取れないことがあり、その逆もあります。数量でまとめた瞬間に、管理の意味が失われます。

もう一つの違いは、端材が「増える理由」が社内にあることです。購入品は発注しなければ増えません。端材は、仕事をすれば必ず増えます。切れば残りが出るからです。放っておくと増え続ける在庫であり、しかも増えるスピードは受注量に比例します。忙しい会社ほど端材が溜まるのはこのためです。

そして端材には、購入品にはない性質があります。使うたびに姿が変わることです。800×600の端材から400×300を1枚取ると、その端材はもう800×600ではありません。残った形をどう記録するかを決めておかないと、台帳の寸法と棚の現物が1回の加工で食い違います。端材管理の設計は、この「使ったあとどうするか」を先に決めるところから始まります。

一般的な在庫管理システムで端材が扱いにくいのも、この3つの性質が理由です。多くの在庫管理は「品目コード」と「数量」の組で成り立っています。端材にはその両方が当てはまりません。品目コードを振ろうとすれば、寸法の組み合わせの数だけコードが必要になります。数量でまとめようとすれば、どの1枚が使えるのか分からなくなります。端材を扱うには、品目と数量ではなく、板1枚を1件として扱う設計が必要です。

管理の担当を誰にするかも、最初に決めておく必要があります。端材が出るのは加工現場ですが、金額を見るのは経営です。登録する人と、棚を見直す人と、金額を見る人が分かれていて構いません。むしろ登録を現場だけの仕事にして、棚の見直しと処分の判断を誰も持たないままにすると、棚は増える一方になります。月に1回、滞留している板を一覧で見て処分を判断する人を決めておいてください。

端材管理を始める動機は会社によって違います。材料費が上がって仕入の負担が重くなった、棚が溢れて通路が狭くなった、材料の手配が間に合わず納期が遅れた。どの動機で始めても構いませんが、何をもって成功とするかは最初に決めてください。処分量を減らすことが目的なのか、定尺材の購入枚数を減らすことが目的なのか、探す時間を減らすことが目的なのかで、力を入れる場所が変わります。処分量を減らしたいなら残す基準の設計が効きます。購入枚数を減らしたいなら探し方の設計が効きます。探す時間を減らしたいなら置き場とラベルの設計が効きます。3つ全部を同時に狙うと、どれも中途半端になります。

端材が使われずに溜まる3つの理由

端材が使われない会社の多くは、担当者を決めていないわけでも、棚がないわけでもありません。管理の鎖のどこかに切れ目があるだけです。切れ目は次の3か所のいずれかに現れます。

1つめは、現物と台帳の切れ目です。棚に板はあるのに台帳に載っていない、あるいは台帳にはあるのに棚にない。この状態が続くと、現場は台帳を見なくなります。台帳を見ないから登録もしなくなり、ずれがさらに広がります。原因はたいてい登録の手間です。切ったあと、事務所まで戻ってExcelを開いて行を追加する、という運用は、忙しい日の午後には必ず飛ばされます。登録は板を置く場所でその場で終わらないと続きません。

2つめは、台帳と加工可否の切れ目です。台帳に「SPCC t1.6 620×450」と書いてあっても、それだけでは目当ての部品が取れるかどうか判断できません。掴み代が要るのか、切り代をいくつ見るのか、目方向の指定があるのか。台帳が寸法しか持っていないと、現場は結局棚に行って現物を見ることになります。見に行く手間が発生するなら、最初から新しい板を出したほうが早い、という判断になります。台帳は「見に行かなくても候補を絞れる」情報量を持たないと使われません。

3つめは、使用後の未更新です。端材を使ったのに台帳がそのまま残っている。これが一番たちが悪い切れ目です。台帳上は在庫があることになっているので、別の人が同じ板を当てにして計画を立てます。当日棚に行くと板がない。1回でも空振りすると、その人はもう端材台帳を信用しません。信用を失った台帳は、更新されないまま放置され、やがて誰も見なくなります。

3つの切れ目に共通するのは、どれも「1回のずれ」で信用が壊れる点です。端材管理は、精度を95%に上げる活動ではなく、ずれが起きない手順に変える活動だと考えてください。

この違いは運用の設計に直結します。精度を上げる発想だと、対策は「気をつける」「チェックする」「月末に棚卸しして合わせる」になります。どれも人の注意力に依存しているので、忙しくなると効かなくなります。手順を変える発想だと、対策は「登録しないと切れない」「予約しないと出庫できない」という形になります。注意力ではなく順序で担保するので、忙しい日でも同じ結果になります。

もう一つ、溜まる理由として見落とされやすいのが置き場の設計です。棚が加工機から遠い、板が縦に立てて差してあって奥が見えない、重い板が上にある。こうした物理的な条件は、台帳をどれだけ整えても改善されません。探すのに時間がかかる置き方をしていると、台帳で候補が出ても現物にたどり着くまでが億劫になります。台帳の整備と置き場の整理は、どちらか一方だけでは効果が出ません。

だから最初にやるべきは台帳作りではありません。台帳を作る前に、載せるものを減らすところから始めます。

何を残すかを先に決める

端材管理でつまずく最大の原因は、出た端材を全部残そうとすることです。全部残せば台帳の行数が増え、棚が埋まり、探すのに時間がかかり、結局使われません。管理コストだけが増えて効果が出ないので、半年で運用が止まります。

先に決めるべきは、「残さない基準」です。残す基準ではありません。残す基準から考えると、どの板にも「いつか使うかもしれない」という理由が付いてしまうからです。残さないものを機械的に決めておけば、判断に迷いが出ません。

基準は自社の受注内容から逆算します。過去半年の図面を並べて、実際に切った部品の外形寸法の分布を見てください。最も小さい部品より小さい端材は、どれだけ残しても使い道がありません。同じように、過去に一度も使っていない材質や板厚の端材は、残しても在庫になるだけです。

残す・残さないを決める観点と、決め方の例
観点 何を見て決めるか 決め方の例
大きさの下限 過去半年で切った部品の最小外形 短辺が自社の最小部品の短辺に掴み代と切り代を足した値を下回る板は残さない
材質・板厚 直近の受注で使った材質と板厚の頻度 過去1年で使用実績のない材質・板厚は、その場で処分に回す
形状 矩形として使えるかどうか 矩形で取り直せない板は残さない。台帳が持てるのは縦横の2辺だけだと割り切る
表面状態 傷・錆・保護フィルムの有無 外観指定のある製品に使えない板は、内部部品専用として別置きにするか残さない
保管期間 入庫からの経過月数 一定か月を過ぎても動かない板は、残す判断を一度やり直す

この表の数字は自社で埋めてください。他社の基準をそのまま持ってきても機能しません。基準を決める作業そのものが、自社が何を作っている会社なのかを言語化する作業になります。

基準を決めたら、棚に貼ってください。切ったその場で判断できないと意味がないからです。判断が現場の裁量に委ねられている限り、迷った板は「とりあえず残す」に流れます。基準は、迷いを消すために作ります。

運用を始めるときに必ず問題になるのが、すでに棚にある板の山です。ここを一枚ずつ登録しようとすると、初日で挫折します。順序を逆にしてください。まず基準に照らして、残さないものを抜きます。抜いた板は処分に回します。残った板だけを登録します。登録する前にふるいにかけるので、初期登録の枚数が現実的な数に収まります。

抜く作業は一日で終わらせる必要はありません。ただし、いつ終わるかは決めてください。終わりを決めないと、棚に「判定済みの板」と「未判定の板」が混在した状態が続き、検索した候補が信用できなくなります。登録済みの板だけを置く棚と、未判定の板を置く場所を物理的に分けて、未判定の場所が空になった時点で運用開始とするのが確実です。

基準は一度決めたら固定、ではありません。受注の内容が変われば、使える板の下限も変わります。半年に一度、実際に使われた端材の寸法分布と、処分した端材の寸法分布を見比べてください。処分した板の寸法帯に使われた板が混ざっていないなら、下限をもう少し上げられます。逆に、下限ぎりぎりの板が頻繁に使われているなら、下限は適切です。

材質と板厚の絞り込みも同じ考え方で見直します。使う材質が5種類、板厚が6種類あれば、組み合わせは30通りです。この30通り全部の端材を持とうとすると、どの組み合わせも少しずつしか揃わず、探しても目当てのものが無い状態が続きます。よく使う組み合わせを上位から数えて、受注の大半を占める範囲だけを端材として残す、という決め方もあります。残す組み合わせを絞るほど、1つの組み合わせあたりの枚数が増え、探して見つかる確率が上がります。端材が使われるかどうかは枚数の多さではなく、必要な組み合わせが揃っているかで決まります。

なお、この絞り込みは定尺材の持ち方とセットで考える必要があります。端材として残す組み合わせを絞れば、そこから外れた仕事は定尺材から切ることになり、定尺材の在庫が増えます。逆に定尺材の種類を減らせば、端材で賄う場面が増えます。どちらか一方だけを見て決めると、もう一方が膨らみます。定尺材と端材を同じ材料の在庫として並べて見る考え方は、定尺材・端材管理のページに整理しています。

端材は数量ではなく1枚ずつ数える

端材台帳を作るとき、多くの会社が最初に「SPCC t1.6 中サイズ 12枚」のような書き方をします。これは購入品の管理方法をそのまま持ち込んだ形で、端材では必ず破綻します。理由は単純で、12枚のうちどれが目当ての部品を取れるのか、この行からは分からないからです。

端材は、1件の在庫が1枚の板である、と決めてください。数量の欄は作りません。枚数は行数で数えます。SPCC t1.6 の端材が12枚あるなら、台帳には12行あります。この形にすると、次の3つが同時に成立します。

  • 1行が1枚の板を指すので、寸法・材質・板厚を行ごとに正確に持てる
  • 「この板を使う」という予約が、板1枚に対して1件だけ立つ。二重取りが構造的に起きない
  • 使い切ったら行が消える。数量を減算する作業がないので、引き算の間違いが発生しない

行数が増えることを心配する必要はありません。前の章で残さない基準を決めているので、増え方は制御されています。むしろ行数がそのまま「棚に何枚あるか」を表すので、在庫量の把握が正確になります。

1枚ずつ数えるようにすると、板を識別する手段が必要になります。板ごとに固有の番号を振り、その番号を板そのものに貼るのが確実です。番号の付け方は、人が意味を読み取れる形にしておくと運用が楽になります。たとえば登録日と、その日の連番を組み合わせて「20260830-013」とすれば、番号を見ただけでいつ棚に入った板か分かります。番号を手で考えて振ると必ず重複するので、登録した瞬間に自動で採番される仕組みにしてください。

ラベルには何を載せるかも先に決めます。載せすぎると貼る作業が重くなり、少なすぎると現物照合ができません。実務で必要なのは、QRコード・在庫番号・材質・板厚と縦横の寸法・登録日の5つです。この5つがあれば、棚の前で板を見た人が、それが何の板でいつからあるのかを判断できます。ラベルはラベルプリンターで貼るのが早いですが、台数がないうちはPCからA4に印刷して切って貼る運用でも回ります。

ラベルを貼る位置も決めておきます。棚に差した状態で見える位置、つまり短辺側の端から数センチの位置に、全員が同じ向きで貼るのが基本です。位置がばらばらだと、探すたびに板を引き出すことになります。引き出す手間が発生すると、その手間を惜しんで現物確認が省略されます。

貼る作業そのものが負担になる場合は、板の大きさで運用を分けても構いません。頻繁に動く大きめの板にはラベルを貼り、下限に近い小さな板はまとめて一つの箱に入れて箱にラベルを貼る、という方法もあります。ただし箱にまとめた時点で、その中の板は1枚ずつ探せなくなります。まとめるかどうかは、その寸法帯の板が実際にどれだけ使われているかを見て決めてください。

在庫番号を人が読む場面も残しておきます。QRコードが汚れて読めないことは現場では普通に起きます。番号が印字されていれば、手入力で台帳を引けます。機械が読める形と人が読める形の両方を載せておくことが、現場で止まらない仕組みの条件です。

台帳に持たせる項目と、現物との結び方

台帳が使われない一番の理由は、項目が足りないことです。逆に、項目が多すぎると入力が終わらず、登録されない板が出ます。入力が30秒で終わり、かつ棚に行かずに候補を絞れるという2つを両立させる項目立てを考えます。

端材台帳に持たせる項目と、その項目が必要な理由
項目 役割 これが無いと起きること
在庫番号 板1枚を一意に指す 似た寸法の板を取り違える。指示と現物を照合できない
材質 加工可否と後工程の可否を決める 寸法だけで選び、めっき・溶接の工程で戻される
板厚 図面との一致を判定する 板厚違いに気づかず切る。切ってから分かるので材料も時間も戻らない
横・縦(mm) 部品が収まるかを機械的に判定する 大・中・小のような区分では検索できず、結局棚を見に行く
目方向の有無 90度回して使えるかを決める 回して取れるはずの板を候補から落とす。あるいは回してはいけない板を回す
ロット番号 材料証明の要求に応える ミルシートの提出を求められたときに端材を使えない
登録日 滞留を測る起点にする いつからある板か分からず、処分の判断ができない
状態 使えるか、押さえられているかを表す 別の人が同じ板を当てにする。当日になって空振りする
置き場 探す範囲を絞る 台帳で見つけても現物にたどり着けない

寸法は必ずmmの数値で持ってください。「大」「中」「小」や「半分くらい」は、あとから検索できません。検索できない項目は、書いても読まれない項目です。

台帳と現物を結ぶのは、板に貼ったラベルのQRコードただ一つにします。結び方を複数用意すると、どちらが正なのか分からなくなります。棚番号で結ぶ方式は一見わかりやすいのですが、板は動きます。誰かが手前の板を奥にずらした瞬間に、台帳と現物の対応が壊れます。板そのものに識別子が貼ってあれば、板がどこに移動しても対応は壊れません。

置き場の持ち方には注意が必要です。置き場は台帳と現物を結ぶ鍵ではなく、探す範囲を絞るための補助情報として持ちます。「A棚3段目」と書いてあれば、A棚だけ見ればよいので現物確認が早く終わります。ただし、そこに無かったからといって板が消えたことにはなりません。誰かが動かしただけです。置き場が合っていなくても、板のラベルさえ生きていれば管理は壊れないという設計にしておいてください。

ロット番号は、要求される会社とされない会社があります。材料証明の提出を求められる仕事が一件でもあるなら、最初から持たせてください。あとから追加すると、既存の板にロット番号を振れず、端材が証明の要る仕事に使えないまま残ります。逆に、証明を求められる仕事が無いなら、入力項目を1つ減らしたほうが登録が続きます。

登録のタイミングも決めておきます。原則は「切って残りが出た、その場で登録する」です。あとでまとめて登録する運用にすると、まとめる作業が発生した時点で、それは誰かの仕事になります。誰かの仕事は忙しい日に飛ばされます。その場で登録するには、加工機の横で登録できる端末が要ります。スマートフォンやタブレットのブラウザから登録できれば十分です。

入力を速くする工夫も要ります。材質と板厚は、毎回文字で打たせるとばらつきます。「SPCC」「spcc」「SPCC材」が別物として登録されると、検索で引っかからない板が出ます。材質と板厚は選択式にして、自由入力を許さないのが確実です。寸法だけを数値で入れる形にすれば、登録は本当に数十秒で終わります。

切った残りを記録する(親子関係)

端材管理でもっとも設計を間違えやすいのが、使ったあとの記録です。800×600の端材から400×300を取ったあと、残った板をどう扱うか。ここを決めていないと、台帳の寸法と現物が最初の1回でずれます。

正しい扱い方は、「元の板は使い切ったことにして、残った板を新しい1枚として登録し直す」です。元の板の寸法を書き換えるのではありません。書き換え方式には2つの問題があります。1つは、切り方によって残りが1枚とは限らないこと。L字に残る場合、矩形として取り直せる部分がどこかを人が決める必要があります。もう1つは、書き換えると履歴が消えることです。この板がどこから来たのか分からなくなると、材質やロットの追跡ができません。

そこで、元の板を選んでから新しい板を登録するという順序にします。この順序にすると、次の3つが自動的に決まります。

  • 元の板の状態が「使用済」に変わり、検索の候補から自動的に外れる。使ったのに残り続ける事故が消える
  • 新しい板が材質・板厚・ロット番号を元の板から引き継ぐ。入力し直さないので転記ミスが起きない
  • 親子関係が残るので、どの定尺材から出た板なのかを後からたどれる

L字や穴の空いた形で残った場合は、その中から矩形として取り直せる範囲を人が決めて、その寸法で登録します。実際より小さめに申告することになりますが、それで構いません。台帳の寸法は「確実にこの寸法は取れる」という保証値であるべきで、実際より大きく登録すると、あとで取れなかったときに信用を失います。台帳は控えめに、現物は現場で判断するという役割分担にしておくと運用が安定します。

具体的な流れで見ます。定尺材から切り出して、800×600の端材が出たとします。この板を「20260830-013」として登録します。翌週、この板から420×310の部品を取ることになりました。指示書を出して板を押さえ、切ります。残ったのが概ね800×280の帯状の板だったとします。ここで、20260830-013を親として新しい板を登録します。寸法は800×280。材質・板厚・ロット番号は自動で引き継がれます。20260830-013は使用済になり、検索の候補から消えます。この一連の操作が1回で終わることが、運用が続くかどうかの分かれ目です。

残った板が基準を下回るなら、登録せずに処分に回します。この判断も切ったその場で行います。「あとで見て決める」を許すと、判断待ちの板が棚を占領します。

親子関係を残しておくと、あとから効いてくる場面があります。ある製品で材料の不具合が見つかったとき、同じロットの板がどこまで広がっているかを追えます。定尺材から出た端材、その端材から出た端材まで一本の線でつながっているので、どの製品に使われた可能性があるかを台帳から特定できます。紙の台帳では現実的に追えない範囲です。

使える端材の探し方は3段階

端材が使われるかどうかは、探す作業が何分で終わるかで決まります。探すのに5分かかるなら、定尺材を1枚開けたほうが早いと判断されます。探す作業を3段階に分けて、それぞれを短くします。

第1段階は、材料条件で絞ることです。図面から材質と板厚を読み、その組み合わせの端材だけを取り出します。ここで大半が消えます。材質と板厚が違えば、寸法がいくら合っていても使えないからです。目方向の指定がある材料なら、この段階で方向の条件も加えます。

第2段階は、寸法で絞ることです。必要な部品の展開寸法に、掴み代・切り代・部品間隔を足した値を出し、それが収まる板だけを残します。ここで重要なのは、収まる板のうち面積の小さいものから順に見ることです。大きい板から使うと、大きい端材が減って小さい端材だけが残ります。小さいものから使えば、大きい板が次の仕事のために残ります。

目方向の指定がない材料なら、90度回した場合も候補に入れます。420×310の部品に対して、350×450の板は縦横そのままでは入りませんが、回せば入ります。この判定を人がやると必ず見落とすので、寸法で検索する仕組み側に持たせてください。

第3段階は、現物確認です。候補が出たら、棚に行って板を見ます。傷、錆、反り、以前の加工で空いた穴の位置。これらは台帳には載っていません。画面に出た候補は「寸法が収まる」という意味であって、加工できることの保証ではありません。ここを混同すると、候補を信じて計画を立て、当日になって使えないことが分かる、という失敗が起きます。

3段階それぞれにかかる時間の目安も決めておきます。第1段階と第2段階は画面の操作なので、合わせて1分以内に終わるはずです。第3段階は棚までの距離と置き方で決まります。3段階の合計が定尺材を1枚出す時間より短くなければ、端材は使われません。ここは精神論ではなく、時間の比較です。

3段階に分けておく効果は、どこで時間がかかっているかが分かることです。第1段階に時間がかかるなら材質・板厚の入力が甘い。第2段階で候補がゼロばかりなら、残す基準が実態と合っていない。第3段階で落ちる板が多いなら、台帳に持たせる項目が足りていません。探す時間を測っておくと、どこを直せばよいかが数字で分かります。

探す順序を「小さいものから」に固定することには、もう一つ効果があります。棚に残る板の大きさが揃っていくのです。大きい板から使う運用だと、小さい板ばかりが積み上がり、やがてどれも使えない山になります。小さい板から使えば、下限に近い板が先に消費され、棚の中身が入れ替わり続けます。使い切る仕組みとは、大きい端材を守る仕組みでもあります。

もう一つ、探すときに必ず確認しておきたいのが、その仕事が端材を許すかどうかです。材料証明の提出が要る、外観の指定が厳しい、板の目方向が指定されている。こうした条件がある仕事では、寸法が合っていても端材を使えません。図面や注文書を受け取った段階でこの判定を済ませておけば、探す作業そのものが発生しません。探す前に、探す必要があるかを確かめるのが最初の手順です。

なお、探し方を人に依存させないことも大切です。話し言葉で「1.6のSPCCで400角が取れるやつ」と入力したら検索条件に翻訳される、あるいは図面のPDFから材質・板厚・展開寸法を読み取って候補を出す、といった補助があると、探せる人が特定の1人に固定されなくなります。ただし、翻訳や読み取りの結果はそのまま採用せず、人が確認・修正してから検索を実行する手順にしてください。読み取りは入力の手間を減らすためのものであって、判断を代行させるものではありません。判断は寸法の突き合わせと現物確認で行います。

二重取りを防ぐ引き当て

端材管理を導入した会社が最初につまずくのが、同じ板を2人が当てにする事故です。AさんもBさんも同じ画面を見て、同じ620×450の板を「これで取れる」と判断します。先に棚へ行ったほうが持っていき、あとから行ったほうが空振りします。定尺材なら「もう1枚出す」で済みますが、端材は同じものが二度と手に入りません。

防ぎ方は、板を押さえる操作を必ず経由させることです。板は次の状態を移ります。

  • 在庫:誰も押さえていない。検索の候補に出る
  • 予約あり:特定の仕事に押さえられている。検索の候補から外れる
  • 使用済:切って出庫された。もう存在しない
  • 廃棄:使わずに処分した。もう存在しない

重要なのは、出庫は必ず予約を経由するという一点です。在庫からいきなり使用済にできる抜け道を作ると、その抜け道が使われます。急いでいるときほど使われます。予約を必須にしておけば、押さえた瞬間に他の人の検索結果から消えるので、二重取りが構造的に起きません。

状態を4つに絞っているのも理由があります。状態が増えるほど、現場は「今どれを選べばいいのか」で迷います。「保留」「確認中」「仮押さえ」といった中間の状態を作りたくなりますが、中間状態は必ず滞留します。誰も次に進めないまま残り、検索の候補からは外れているので、実質的に死蔵在庫になります。使えるか、押さえられているか、無くなったか。この3つが判別できれば運用は回ります。

押さえる操作を現場の負担にしないために、指示書の発行と予約を同じ操作にするのが実務的です。板を1枚選び、図番と員数を書いた指示書を発行する。発行と同時にその板が予約ありに変わる。こうすれば、現場が「予約を忘れる」ことがなくなります。予約の操作が別にあると、必ず忘れる人が出ます。

出庫のときは、指示書と板の照合を機械にやらせてください。指示書のQRコードと板のQRコードを読んで、一致したときだけ出庫が成立する。人が目視で番号を突き合わせる運用は、似た番号が並んだときに必ず間違えます。読み取りはスマートフォンのブラウザでもできますし、専用のバーコードリーダーがあれば片手で終わります。照合を1操作にしておくと、忙しい日でも省略されません。

予約したまま使わなかった板の扱いも決めておきます。仕事が延期になった、図面が変わった、別の板を使うことにした。理由は何でもよいのですが、予約を解除する操作がないと、押さえられたまま誰にも使えない板が増えます。予約の一覧を週に一度見て、指示書が発行されてから一定期間動いていないものを洗い出す運用にしてください。数が少ないうちは目視で足ります。

予約を経由する運用にすると、副次的な効果もあります。どの板がどの仕事に使われたかが記録として残ります。案件ごとの材料費を集計するとき、定尺材だけでなく端材で賄った分も含めて原価が見えるようになります。端材だから材料費ゼロ、という扱いにしてしまうと、その案件の利益が実態より良く見えます。買ってきた板であることに変わりはないので、金額を持たせて原価に乗せてください。

見積のときも同じです。端材で作れる見込みがあるからといって、見積の材料費を下げてしまうと、実際には端材が無くて定尺材から切ったときに、その案件は最初から赤字になります。見積は定尺材から切る前提で組み、端材で賄えたときの差額は実績側で拾うのが安全です。端材が使えたかどうかは、切る直前まで確定しません。確定しないものを見積の前提に入れると、見積の精度が下がります。

引き当ての考え方は、定尺材の在庫でも同じです。現物が何枚あるかより、まだ約束できる枚数が何枚あるかのほうが判断に効きます。この考え方は購入品の在庫でも共通で、発注のタイミングを決める仕組みと合わせて設計すると効果が出ます。詳しくは発注点管理の仕組みと安全在庫の計算方法で扱っています。端材と定尺材をまとめて扱う考え方は定尺材・端材管理のページに整理しています。

眠っている端材はいくらの在庫になっているか

端材管理を「もったいないから」という理由で進めると、途中で止まります。もったいないは感覚なので、優先順位を他の課題と比べられないからです。金額に換算すると、端材は在庫であり、資金が止まっている場所だと分かります。

端材1枚の金額は、次の2段階で出せます。

  • 重量(kg)= 横(m)× 縦(m)× 板厚(m)× 比重(kg/m³)
  • 金額(円)= 重量(kg)× キロ単価(円/kg)

比重は材質で決まります。鋼は約7,850kg/m³、アルミは約2,700kg/m³、ステンレスは約7,930kg/m³が目安です。キロ単価は自社の仕入価格を入れてください。市況で動くうえ、材質・板厚・数量・仕入先で変わるので、外から持ってきた数字を当てはめても意味がありません。

計算例を1つ置きます。以下の単価は計算の手順を示すための仮の値であり、実際の相場ではありません。自社の直近の仕入伝票から単価を拾って置き換えてください。

端材の在庫金額の試算(単価は仮の値。自社の仕入単価に置き換えて計算する)
項目 値 計算
板1枚の寸法 t1.6 × 600 × 900 mm 0.0016 × 0.6 × 0.9 = 0.000864 m³
重量 約6.8 kg 0.000864 × 7,850 = 6.78 kg
1枚の金額 約1,020円 6.78 × 150(仮のキロ単価)= 1,017円
棚に300枚あると 約30万円 1,017 × 300 = 305,100円
半分が使われないまま処分 約15万円が費用になる 305,100 × 0.5 = 152,550円(スクラップ売却分を除く)

金額を出す作業は、1枚ずつ寸法を持っているからできることです。「中サイズ12枚」という台帳からは金額が出せません。1枚ずつ数えることの効果は、探せるようになることだけではなく、在庫として金額で語れるようになることにあります。

ただし、この金額を見て「端材を全部使い切ろう」と走るのは早計です。判断は会社全体で見てください。端材を無理に使うために段取り替えが増え、加工時間が延びるなら、浮いた材料費より失った時間のほうが大きいことがあります。時間あたりで生み出せる付加価値は、材料費の節約より大きいことが多いからです。

判断は増分で見ます。端材を使う場合と定尺材を使う場合で、増える費用と減る費用だけを比べます。比べる項目は、材料費の差、段取り時間の差、加工時間の差、不良になったときのやり直し費用の4つです。この4つを足し引きして有利なら端材を使う、不利なら定尺材を使う。棚の板を減らすこと自体は目的ではありません。

同時に、端材が減らない状態を放置するコストも見てください。棚の面積、探す時間、そして「探したけれど無かった」という空振りの回数。これらは伝票に出てこない費用ですが、確実に発生しています。金額換算は、伝票に出てこない費用を経営の土俵に乗せるための作業です。

滞留の見方も決めておきます。入庫日からの経過月数で在庫を並べ、一定か月を超えた板を一覧にします。区切りは自社で決めますが、受注の周期より長い期間を設定しないと意味がありません。年に1回しか来ない仕事があるなら、6か月で切ると使う予定のある板まで処分候補に入ります。逆に毎月似た仕事が来る会社なら、3か月動かない板は今後も動きません。

滞留の一覧は、処分するために見るのではありません。なぜその寸法帯の板が動かないのかを考えるために見ます。動かない寸法帯が毎回同じなら、残す基準がその帯を拾ってしまっている、という意味です。基準を直せば、来月から同じ板が増えなくなります。処分は結果の後始末であって、原因への対策ではありません。

金額を出す作業をもう一段進めると、端材が在庫全体のどれくらいを占めているかが見えます。定尺材の在庫金額と端材の在庫金額を並べてみてください。端材の割合が大きい会社は、切り方の問題ではなく、残す基準が緩い可能性が高いです。この比較は月に一度で十分ですが、続けると基準を直した効果が数字で確認できます。

Factory Advance での端材管理

Factory Advance は、個別受注生産型の中小製造業向けのクラウド型生産管理システムです。板金加工業の端材については、1件の在庫が1枚の板という考え方をそのまま形にしています。本記事で述べた手順を、そのまま画面上の操作として実行できます。

設計の前提として、判断を自動化していません。どの板を使うかを決めるのは人で、システムがやるのは条件に合う板を漏れなく並べることと、選ばれた板を押さえることです。自動で最適な板を割り当てる方式にすると、現場が納得しない割り当てが混ざったときに、その仕組み全体が使われなくなります。候補を出すところまでを機械に、決めるところを人に置いています。

  • 端材は1件が1枚の板として登録され、数量の欄がない。枚数は行数で数える
  • 登録すると「登録日+その日の連番」の在庫番号が自動で付く(例:20260830-013)。手で採番しないので重複しない
  • QRラベルにはQR・在庫番号・材質・板厚×横×縦・登録日の5つが載る。ラベルプリンター mC-Label2(USB/有線LAN/無線LAN/Bluetooth)から、またはPCからA4に印刷できる
  • 状態は在庫→予約あり→使用済、および在庫→廃棄の4つ。出庫は必ず予約を経由するので、二重取りが構造的に起きない
  • 切った残りは元の板を選んで登録する。元の板は使用済になり、新しい板が材質・板厚・ロット番号を引き継ぐ
  • 重量は横×縦×板厚×比重、金額は重量×キロ単価で自動算出される。単価が未設定なら「-」と表示され、勝手な推定値は入らない
  • 寸法で探すと、収まる板だけが面積の小さい順に並ぶ。目方向の指定がない材料は90度回転も考慮して判定する
  • 言葉で探す機能は、話し言葉を検索条件に翻訳する。翻訳結果はフォームに入るだけで、検索を実行するのは人
  • 図面から探す機能は、PDFや画像から材質・板厚・展開寸法を読み取る。人が確認・修正してから候補を出す
  • 端材指示書は板1枚を選び、図番と員数を書いたA4を発行する。発行と同時にその板が予約ありになる
  • 現場ではAndroidアプリかスマートフォンのブラウザで指示書QRと材料QRを読んで照合し、出庫する。バーコードリーダーにも対応している
  • 入庫から一定か月(既定6か月、1〜120か月で設定可)を過ぎた在庫を長期滞留として集計できる

端材と定尺材は同じ材質マスタでつながっているので、材質・板厚の書き方が2つの台帳でずれることがありません。定尺材の在庫、引き当て可能な残り枚数、入庫予定までを含めた全体像は定尺材・端材管理の機能ページにまとめています。購入品や部品の在庫と合わせて管理したい場合は在庫管理の機能を、図面と品番の対応を整理したい場合は図番とはもあわせてご覧ください。

端材を使い切る仕組みは、材料費を下げるためだけのものではありません。探す時間が減り、空振りが消え、同じ人数で回せる仕事が増えることに本当の効果があります。導入や機能の詳細はFactory Advance の公式サイトをご覧ください。板金加工業を含む個別受注生産の現場でどう使われているかは、製品紹介資料にまとめています。

まとめ

要点を整理します。

  • 端材管理の目的は処分量の削減ではなく、買わなくてよい材料を買わないことと、探す時間を減らすことの2つである
  • 端材が使われない原因は3つの切れ目にある。現物と台帳、台帳と加工可否、そして使用後の未更新である
  • 台帳を作る前に「残さない基準」を決める。全部残す運用は台帳の行数を増やすだけで定着しない
  • 端材は1件の在庫が1枚の板。数量の欄を作らず、枚数は行数で数える
  • 台帳と現物は板に貼ったラベルのQRコード1つで結ぶ。棚番号で結ぶと板が動いた瞬間に壊れる
  • 切った残りは元の板を選んで登録し直す。元の板は使用済にし、材質・板厚・ロット番号を引き継がせる
  • 探し方は材料条件、寸法、現物確認の3段階。画面の候補は寸法が収まるという意味であり、加工の保証ではない
  • 出庫は必ず予約を経由させる。指示書の発行と予約を同じ操作にすれば、現場が予約を忘れない
  • 端材は金額で語れる在庫である。重量と自社のキロ単価から在庫金額を出し、増分で使う・使わないを判断する

まず、過去半年に切った部品の最小外形を調べて、残さない板の下限寸法を1つだけ決めてください。

参考文献

中小製造業の仕掛在庫削減|キャッシュを取り戻す手法

「決算書では黒字なのに、銀行口座にお金が残らない」。多品種少量生産の現場でよく聞く悩みです。原因の多くは工場の中に滞留している仕掛品にあります。図面が出てから出荷までの間、材料費と外注費、そして加工に費やした労務費は、出荷請求が立つまで現金化されません。仕掛在庫はバランスシート上で「資産」に分類されますが、実態は固定化されたキャッシュです。本記事では中小製造業が仕掛在庫を適正水準まで削減するための考え方と、リードタイム短縮・発注タイミング最適化の具体的な手法を整理します。

仕掛在庫がキャッシュを奪う構造

仕掛在庫(WIP: Work In Process)とは、材料を投入してから完成品になるまでの間、工場内のどこかの工程に存在する未完成品のことです。多品種少量・個別受注の中小製造業では、案件ごとに材料を手配し、工程をまたいで加工するため、仕掛在庫が膨らみやすい構造を持っています。

問題は、仕掛在庫が増えると「真の変動費」である材料費と外注費が先に出ていくことです。売上 − 外部購入費(材料費+外注費)を付加価値=スループットと捉えると、仕掛が滞留している期間中は付加価値が実現せず、外部購入費だけが資金として出ていく状態が続きます。

仕掛在庫1,000万円が滞留する場合のキャッシュインパクト(試算例)
項目 金額 備考
仕掛金額 1,000万円 材料費500万+外注費300万+労務費200万
うち外部流出済キャッシュ 800万円 材料+外注は支払済or支払予定
平均滞留日数 45日 受注から出荷まで
年間キャッシュ機会損失 約30〜60万円 短期借入金利2〜3%換算+運転資金圧迫
在庫リスク 仕様変更・キャンセル時の損失 個別受注では転用困難

決算上は資産でも、現金は社外に出ています。仕掛在庫を削減することは、銀行借入を増やさずに運転資金を捻出する有効な手段になります。

なぜ仕掛在庫が膨らむのか:3つの典型原因

中小製造業の現場で仕掛が積み上がる原因は、おおむね次の3つに集約されます。

1. 早すぎる材料投入と前倒し生産

「材料が届いたから先に切っておく」「機械が空いたから他の案件を流す」。一見すると効率的に見えますが、後工程の準備が整っていなければ、中間に半製品が積み上がるだけです。製造現場のリーダーが「稼働率」を意識するあまり、必要のないタイミングで材料を投入してしまう構造的な問題です。

2. 工程間の能力アンバランス

工程ごとに加工能力が違うと、ボトルネック工程の手前に仕掛が溜まります。例えば前工程の機械加工は1日に20件こなせるのに、後工程の熱処理が1日5件しか処理できない場合、熱処理待ちの仕掛が日に日に増えていきます。これはTOC(制約条件理論)が指摘する典型的なパターンです。

3. 進捗の見えない化と「念のため」発注

紙の作業指示書やExcelの進捗表だけで現場を回していると、「今どの工程に何件あるか」を経営者や工場長が把握できません。状況が見えないと、不安から「念のため早めに材料を発注する」「外注に余裕を持って出す」という判断が積み重なり、仕掛が膨らみます。

仕掛在庫が膨らむ悪循環
進捗が見えない
▶
納期不安で材料早期発注・前倒し投入
▶
工程間に半製品が滞留
▶
現場が混雑し探し物・段取り替えが増加
▶
実質リードタイムがさらに延びる
▶
さらに前倒し発注…(振り出しに戻る)

適正水準を維持する3つのアプローチ

仕掛在庫はゼロが理想ではありません。工程間のバラツキを吸収するための最小限の在庫は必要です。重要なのは「現在の仕掛水準が適正か」を判断できる状態にすることです。

アプローチ1:リードタイム短縮で滞留時間そのものを減らす

仕掛金額 ≒ 1日あたりの投入金額 × 平均滞留日数 という関係があります。リードタイムを半分にできれば、理論上は仕掛在庫も半分になります。リードタイム短縮の具体的手法については製造業のリードタイム短縮方法で詳しく扱っていますが、ポイントは「加工時間」より「待ち時間」を削ることです。多品種少量生産では、リードタイム全体のうち実加工時間は1〜2割しかなく、残りは待ち時間というケースが珍しくありません。

アプローチ2:発注タイミング最適化

材料の発注タイミングは「必要な日から納入リードタイム分だけ手前」が原則です。安全余裕を取りすぎると材料倉庫と仕掛が同時に膨らみます。発注点管理や引当の仕組みを整え、案件ごとの所要日に紐付けて発注する運用に切り替えると、投入のタイミングが揃ってきます。

アプローチ3:ボトルネック工程に合わせた投入制限(DBR)

工場全体のペースをボトルネック工程に合わせる考え方です。ボトルネックの処理速度を超えて材料を投入しても、仕掛が増えるだけで売上は増えません。ボトルネック工程の前に少量のバッファ(待ち行列)だけを置き、それ以上は投入を抑える運用が有効です。

従来型:稼働率最大化 適正在庫型:スループット最大化
材料投入 ▶ 機械が空けば投入
評価指標 ▶ 工程ごとの稼働率
仕掛在庫 ▶ 工程間に分散して滞留
納期回答 ▶ 経験と勘
キャッシュ ▶ 外部流出が先行

仕掛在庫を見える化する仕組み

削減の第一歩は「現状を数字で把握する」ことです。経営者・工場長が知りたいのは次の3点です。

仕掛在庫を管理するための3つの指標
指標 計算式・意味 把握のための手段
仕掛金額 案件別の投入材料費+外注費+消化労務費の合計 案件管理システムで実績収集
工程別滞留件数 各工程に存在する未完了案件の数 工程進捗のリアルタイム入力
案件別経過日数 受注日から現在までの日数 工番別の進捗履歴
平均リードタイム 完了案件の受注〜出荷日数の平均 完了実績の集計
仕掛金額推移 月末仕掛残高の月次推移 ダッシュボードでの可視化

これらを紙やExcelで個別管理しようとすると、転記と集計に時間がかかり、結局誰も見なくなります。受注から工程進捗、原価実績、出荷まで一気通貫でデータが繋がる仕組みが、仕掛在庫管理の前提条件になります。

進捗管理の具体的な進め方は工程進捗の見える化でも整理しています。

「会社全体で考える」視点を忘れない

仕掛在庫削減を進めるときに陥りがちなのが、「在庫を減らす」ことが目的化してしまうことです。極端に在庫を絞った結果、ボトルネック工程が手待ちになって工場全体の付加価値が下がっては本末転倒です。

判断は常に会社全体のスループット(売上 − 外部購入費)で行います。たとえば外注に出した方がリードタイムが短くなる工程は、自社の労務費が増えたとしても、外注比率を高める方が経常利益率が上がり損益分岐点の上昇を抑えられる場合があります。案件単位・工程単位の効率だけで判断せず、追加で得られる売上に対する増分付加価値、増分費用、増分利益で評価する視点が欠かせません。

仕掛在庫削減の実践ステップ
現状の仕掛金額・滞留日数を測る(ベースライン把握)
▶
ボトルネック工程を特定する
▶
ボトルネックの能力に合わせて材料投入を調整
▶
工程進捗をリアルタイムに見える化
▶
案件別の実績原価とリードタイムを蓄積
▶
見積精度と発注タイミングに反映
▶
月次で仕掛金額の推移をレビュー

仕掛在庫の金額はどう計算するか

削減を語る前に、金額を出せる状態にしておく必要があります。ここでよくある誤りが、仕掛在庫を材料費だけで評価してしまうことです。

仕掛在庫の実態は、材料費に加えて、その案件にすでに投入した労務費と外注費の合計です。加工が進んだ案件ほど、材料費に対する上乗せが大きくなります。

進行中の案件Aで考えます。材料費が40万円、投入済みの工数が60時間でアワーレートが3,500円なら労務費は21万円、外注費が15万円。この案件が工場内に固定化しているキャッシュは76万円で、材料費だけで見た40万円の倍近くになります。

同じ規模の案件が5件同時に走っていれば、380万円が工場の中で寝ている計算です。棚卸で材料費しか拾っていない会社では、実態の半分程度しか見えていません。

案件別に材料費・労務費・外注費を積み上げる方法は個別原価計算とはで解説しています。在庫管理全体の進め方は製造業の在庫管理の方法にまとめました。

Factory Advance で実現する案件別の仕掛管理

クラウド型生産管理システム「Factory Advance」は、個別受注生産型の中小製造業向けに、見積から実績収集、原価集計、出荷請求までを一気通貫でつなぐ案件管理クラウドです。コンセプトは「時間あたり付加価値の向上に貢献する」こと。

仕掛在庫の削減という観点では、次の機能が役立ちます。

  • 工程管理:案件ごとの工程進捗をリアルタイムに入力・参照でき、どの工程に何件滞留しているかを把握できる
  • 在庫引当:案件に必要な材料を引当ベースで管理し、過剰発注を防ぐ
  • 収益管理:案件別に投入材料費・外注費・労務費を集計し、現在の仕掛金額を可視化
  • 集計・分析:平均リードタイム・工程別滞留件数の推移をダッシュボードで把握

紙とExcelで個別管理していた情報を一元化することで、「見積試算 → 実績登録 → 差異分析 → 改善」のサイクルが回り始め、仕掛在庫を適正水準に保つ運用が現実的になります。

20名以下の町工場で、個別受注・多品種少量・1品物や部品製作が中心の企業に特に適合します。引当や在庫金額の把握といった在庫まわりの機能は在庫管理機能のページにまとめています。詳しい機能や導入の流れはFactory Advance 公式サイトと、無料の製品紹介資料からご確認いただけます。

まとめ

仕掛在庫は決算書上の資産ですが、その実態は固定化されたキャッシュであり、放置すれば運転資金を圧迫します。削減のポイントは3つに集約されます。リードタイムを短縮して滞留時間そのものを減らすこと、発注タイミングを案件の所要日に合わせて最適化すること、そしてボトルネック工程の能力に合わせて投入を制限することです。

これらを実行するには、案件ごとの工程進捗と原価実績がリアルタイムに見える状態が前提になります。紙やExcelでは限界があるため、生産管理システムによる一元管理が現実的な選択肢です。仕掛在庫を「会社全体のスループット」の視点から見直すことで、利益と資金繰りの両方を改善できます。

参考文献

製造業の安全在庫の計算方法|中小工場の簡易式と運用

「欠品して客先に頭を下げた翌月、慌てて発注を増やしたら倉庫が在庫であふれた」。中小製造業の在庫管理ではよくある話です。原因は、勘や前任者の経験則だけで安全在庫を決めていること。本記事では、需要変動と調達リードタイムを踏まえた安全在庫の計算方法を、中小製造業の現場でそのまま使える簡易式に落とし込んで解説します。欠品リスクと在庫コストのバランスを取りながら、無理なく運用できる仕組みを目指しましょう。

中小製造業の在庫管理が抱える二つの矛盾

在庫を持つか、持たないか。この判断は中小製造業の経営に直結します。多すぎれば資金が寝てキャッシュフローを圧迫し、少なすぎれば欠品で生産が止まり信用を失う。安全在庫の計算方法を整える目的は、この二つの矛盾を数字でバランスさせることにあります。

在庫が会社の資金繰りに与える影響

2024年版中小企業白書によれば、中小企業の経常利益は持ち直しの動きが見られる一方、原材料・エネルギー価格の上昇や人件費の増加が引き続き経営を圧迫しています。仕入価格が上がる局面では、在庫として持つ材料1点あたりのキャッシュ拘束額も大きくなります。「とりあえず多めに買っておく」という判断が、以前より重く資金繰りに響く時代になっているわけです。

在庫を多く持つ場合と少なく持つ場合の比較
在庫を多く持つ運用 在庫を絞る運用
欠品リスク ▶ 低い
保管スペース ▶ 圧迫しやすい
資金拘束 ▶ 大きい(キャッシュが寝る)
陳腐化・廃棄リスク ▶ 高い
緊急発注の頻度 ▶ 少ない
価格交渉力 ▶ まとめ買いで有利

「安全在庫」と「発注点」を区別する

混同されやすいのですが、安全在庫と発注点は別の概念です。

  • 安全在庫: 需要変動や納入遅れに備えて常に保有しておく最低ラインの在庫量
  • 発注点: 発注を出すタイミングの在庫量(=調達リードタイム中に消費される量 + 安全在庫)

安全在庫だけ決めても発注タイミングが遅れれば欠品しますし、発注点だけ決めても変動への備えがなければやはり欠品します。この二つはセットで設計します。

安全在庫の基本式と中小製造業向けの簡易式

教科書的な安全在庫の計算式は次の通りです。

安全在庫 = 安全係数 × 需要の標準偏差 × √(調達リードタイム)

正規分布を前提とした統計的な式で、安全係数は欠品許容率に応じて決まります(例: 欠品率5%なら安全係数約1.65、1%なら約2.33)。理論的には正しいのですが、中小製造業の現場ではいくつか壁があります。

教科書式が現場で使いにくい理由

  1. 需要の標準偏差を計算するためのデータが揃っていない。Excelに過去の出庫実績がバラバラに記録されていて、品目別の月次需要を時系列で取り出すのが難しい
  2. 多品種少量・個別受注の品目では需要が正規分布しない。半年に1回しか動かない部品の標準偏差を計算しても実態と合わない
  3. 調達リードタイムが安定していない。海外材料や鋼材など、納期が大きくぶれる品目では√(LT)の前提が崩れる

中小製造業で使える簡易式

そこで、現場で運用しやすい簡易版を提案します。

安全在庫(簡易式) = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム(日) × 安全係数

発注点 = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム(日) + 安全在庫

安全係数は「需要や納期のブレ具合」をざっくり1〜2の範囲で設定します。

簡易式での安全係数の目安(中小製造業の運用例)
需要・納期のブレ 想定される品目例 安全係数の目安
小さい(安定発注・国内調達で納期安定) 毎月コンスタントに使う消耗品、汎用ねじ等 0.3〜0.5
中程度(月による変動あり) 標準的な加工材料、汎用電子部品 0.5〜1.0
大きい(受注によって変動・納期もブレる) 特殊鋼材、輸入部品、長納期品 1.0〜2.0
極めて大きい(数か月に1回・特注) 個別受注向け特殊材 都度判断(在庫を持たない選択も)

具体例で計算してみます。ある汎用部品の1日あたり平均使用量が20個、調達リードタイムが10日、需要変動は中程度で安全係数を0.8とすると、

  • 安全在庫 = 20 × 10 × 0.8 = 160個
  • 発注点 = 20 × 10 + 160 = 360個

「在庫が360個を切ったら発注、最低160個は常に確保」という運用ルールが数字で決まります。

欠品リスクと在庫コストのバランスをどう取るか

安全在庫を決めるとき、「欠品が怖いから多めに」と全品目で安全係数を上げてしまうと、在庫金額が一気に膨らみます。重要なのは、品目ごとに重要度を分けることです。

ABC分析で在庫管理にメリハリをつける

年間出庫金額や使用頻度で品目をA・B・Cに分類し、安全在庫の設計方針を変えます。Aランク品(全体の20%で売上の80%を占めるような中核部品)は精度高く、Cランク品(動きが少なく金額も小さい品目)は簡便に。在庫管理にメリハリをつけることで、限られた管理工数を有効に使えます。詳しい考え方は製造業のABC分析で製品ポートフォリオを最適化も参考にしてください。

ABCランク別の安全在庫設計方針
ランク 特徴 安全在庫の設計方針 見直し頻度
A 高頻度・高金額・欠品インパクト大 需要・LTの実績データから簡易式で精緻に計算 四半期に1回
B 中頻度・中金額 簡易式で計算、安全係数は標準的に 半年に1回
C 低頻度・低金額 経験則ベースでよい(極端な過剰だけ避ける) 年1回
特殊・受注対応 個別受注で都度調達 安全在庫を持たず、受注ベースで発注 都度

在庫コストを「見えるもの」にする

在庫1点あたりが会社の収益に与える影響は、単なる仕入金額だけではありません。

  • 仕入金額(キャッシュ拘束)
  • 保管費用(倉庫スペース・棚卸工数)
  • 陳腐化・廃棄リスク
  • 金利・機会損失

これらを足し合わせると、年間在庫保有コストは在庫金額のおよそ15〜25%程度になると言われます(品目特性により変動)。100万円の在庫を1年抱えると、20万円前後のコストが発生している計算です。逆に欠品1回あたりの損失(緊急発注の追加コスト、信用失墜、生産停止損失)も試算しておくと、安全係数の判断材料になります。

安全在庫と発注点はどう違うのか

この二つはよく混同されますが、役割が違います。安全在庫は在庫の下限に置く緩衝、発注点は発注を出すトリガーの数量です。

関係は次の式になります。

発注点 = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム + 安全在庫

1日20個使う材料で、調達に10日かかり、安全在庫を60個と決めたなら、発注点は 20 × 10 + 60 = 260個です。在庫が260個を切った時点で発注すれば、届くまでの10日で200個を消費し、手元には安全在庫の60個が残る計算になります。

安全在庫だけ決めても、発注は始まりません。 発注点とセットにして初めて運用になります。発注点そのものの設計と、品目ごとのランク分けについては製造業の発注点管理の仕組みで扱っています。在庫管理全体の進め方は製造業の在庫管理の方法にまとめました。

安全在庫を持つべきでない品目もある

個別受注の会社で見落とされがちなのが、そもそも安全在庫を持ってはいけない品目があることです。

次に使う保証のない材料を「欠品が怖いから」と抱えると、そのまま死蔵在庫になります。該当するのは主に3つです。

  • 案件専用に手配した特殊材・特注部品。その案件が終われば行き先がない
  • 図面改訂が頻繁な部品。次の受注では仕様が変わっている可能性が高い
  • 単価が高く、長期保管で劣化する材料。持っているだけで価値が目減りする

安全在庫の対象は、繰り返し出る汎用材に絞るのが原則です。案件専用の材料は在庫として持たず、案件の番号に紐づけて必要な分だけ手配する。この考え方の詳細は製番管理とはで整理しています。

品目数が数百を超える現場では、まず金額上位2割の汎用材だけに安全在庫を設定してください。そこを押さえれば、欠品による停止リスクの大半は防げます。

安全在庫の運用を定着させる仕組み

計算式を整えても、現場で実績データが取れていなければ絵に描いた餅です。中小製造業で多いつまずきは、出庫データが現場の紙やExcelに分散していて、品目別の使用実績がリアルタイムに集まらないことです。

在庫管理を仕組みで支える3ステップ

安全在庫を運用に定着させる3ステップ
①入出庫データを工番(案件)と品目に紐付けて記録(現場でその場入力)
▶
②品目別の1日あたり平均使用量と調達リードタイム実績を月次で集計
▶
③ABCランク別に安全在庫・発注点を見直し、発注ルールに反映

特に①の入り口でつまずくと、後工程の集計も計算も成り立ちません。紙の出庫伝票をExcelに転記している段階だと、月末の集計だけで何日もかかり、データを見たときには状況が変わっている、ということが起きます。在庫の引当・発注点管理を仕組み化するには、現場で実績を入力したらそのまま集計につながる仕掛けが要ります。

営業・購買・現場で同じ数字を見る

安全在庫の見直しは、購買担当だけで完結する話ではありません。営業が新規受注の見通しを共有しなければ需要予測は狂いますし、現場が実際の使用ペースを伝えなければ計算根拠が古くなります。同じ数字を関係者全員で見る環境を作ることで、はじめて安全在庫の運用は機能します。これは製造業の営業と工場の連携とも通じるテーマです。

Factory Advanceでの在庫管理と発注点運用

クラウド型生産管理システム「Factory Advance」では、案件(工番)単位の管理と連動した形で、品目別の在庫引当・発注点管理を行えます。受注が入った段階で必要な材料を引き当て、現在の手持ち在庫から差し引いた残数が発注点を下回ればアラートを出す、という運用が可能です。

Factory Advanceで実現できる在庫管理の機能
機能 現場での効果
案件別の材料引当 受注時点で必要量を確保、二重引当を防止
品目別の入出庫履歴 1日あたり平均使用量を自動集計
発注点アラート 在庫が発注点を下回ると通知、欠品予防
案件別収益管理との連動 在庫コストが案件原価にも反映され、利益判断が正確に

紙とExcelで在庫を回している中小製造業が、いきなり高度な需要予測システムを導入する必要はありません。まずは入出庫データを正確に取り、品目別の使用ペースと調達リードタイムを実績で把握すること。そこから簡易式で安全在庫を計算し、ABCランク別にメリハリをつけて運用する。これが現実的な順番です。Factory Advanceは、その入り口から運用までを一気通貫で支援します。引当・発注点アラート・棚卸といった在庫まわりの機能は在庫管理機能のページにまとめています。詳細はFactory Advance公式サイト、導入の全体像は無料の製品紹介資料をご覧ください。

まとめ

安全在庫の計算方法は、教科書通りの統計式にこだわるよりも、中小製造業の現場で運用できる簡易式から始めるのが現実的です。

  • 安全在庫 = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム × 安全係数
  • 発注点 = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム + 安全在庫
  • ABC分析で品目ごとに精度と工数のメリハリをつける
  • 欠品コストと在庫保有コスト(年間で在庫金額の15〜25%程度)を天秤にかける
  • 入出庫データを工番に紐付けてリアルタイムに集計できる仕組みを整える

「会社全体で考える」と、安全在庫の最適解は単なる材料費の最小化ではなく、欠品による信用失墜と在庫拘束による資金繰り悪化のバランス点にあります。在庫管理は経営判断そのものです。実績データを基盤にした安全在庫運用を、ぜひ自社の標準にしてみてください。

参考文献

製造業の発注点管理の仕組み|欠品と過剰在庫を防ぐ

「材料が切れて生産が止まった」「気づいたら棚の奥に同じ材料が山積みだった」。多品種少量生産の現場では、こうした矛盾した問題が同時に起こります。原因の多くは、発注タイミングと発注量がベテラン担当者の勘に依存していることにあります。本記事では、発注点と発注量を数値で管理し、欠品と過剰在庫を同時に減らすための仕組み化の手順を、中小製造業の現場目線で整理します。

勘の発注が招く「欠品と過剰在庫の同居」

中小製造業の在庫管理は、長年その材料を扱ってきた担当者の経験で支えられているケースが多くあります。「この鋼材はそろそろ発注しておこう」「あの部品は前に欠品して怒られたから多めに持っておこう」。判断は早く、現場感覚としては合理的に見えます。

ところが担当者が変わったり、案件構成が変化したりすると、この勘は急に当たらなくなります。中小企業庁の調査でも、中小製造業の経営課題として「在庫の適正化」「原材料費高騰への対応」が上位に挙げられており、勘ではコントロールしきれない規模に在庫問題が膨らんでいる実態が示されています。

ここで陥りやすいのが「欠品と過剰在庫の同居」という状態です。欠品で叱られた経験があるほど安全側に倒したくなり、結果として全品目を多めに持つ。すると倉庫はあふれているのに、なぜか特定の材料だけ切れる。キャッシュは在庫に変わったまま戻ってきません。

勘の発注と数値による発注点管理の違い
勘での発注 発注点管理の仕組み
判断基準 ▶ 担当者の経験と記憶
属人性 ▶ 担当者交代でリセット
欠品リスク ▶ 想定外の使用増で発生
過剰在庫 ▶ 不安から多めに発注
改善サイクル ▶ 結果を振り返れない

発注点管理とは何か:3つの数値で在庫を回す

発注点管理の本質はシンプルです。「在庫がこの数まで減ったら、この数だけ発注する」というルールを、品目ごとに数値で決めておく方法です。担当者が判断するのは「在庫を数えて発注点を下回ったかどうか」だけで、いつ・いくつ発注するかは事前に決まっている数値に従います。

仕組み化のために押さえるべき数値は3つです。

1つめは発注点です。発注点 = 1日あたり平均使用量 × 調達リードタイム + 安全在庫 で計算します。たとえば1日10個使う部品で、発注してから入荷まで7日かかり、安全在庫を20個持つなら、発注点は10×7+20=90個になります。在庫が90個を割ったら発注のサインです。

2つめは発注量です。一定量を都度発注する定量発注方式と、定期的に必要量を見直す定期発注方式がありますが、中小製造業で多い多品種少量品の補充材料には、計算がシンプルな定量発注方式が向きます。発注量は経済的発注量(EOQ)の考え方を簡易化し、月間使用量の1〜2倍程度を目安に設定するところから始めます。

3つめは安全在庫です。需要のばらつきや、リードタイム遅延を吸収するためのバッファです。理論式もありますが、まずは「過去半年で起きた最大の欠品量」や「リードタイムの平均的な遅れ日数 × 1日使用量」など、現場で説明できる値から始めるのが現実的です。

発注点管理で決めるべき3つの数値
数値 計算式・考え方 決め方のコツ
発注点 平均使用量 × リードタイム + 安全在庫 在庫がこの数まで減ったら発注、と決める
発注量 月間使用量の1〜2倍が目安 頻繁すぎず、過剰でもない量に
安全在庫 需要・リードタイムのばらつきを吸収 過去の欠品実績や遅延日数から逆算

全品目を一律に管理しない:ABC分析で優先順位をつける

数百〜数千点の部材を扱う現場で、すべての品目に発注点を設定しようとすると、設計が終わる前に運用が止まります。重要なのは、全品目を一律に扱わないことです。

金額ベースで在庫品目を並べると、上位2割の品目が金額の7〜8割を占めることが多くあります。いわゆるパレートの法則です。この上位品目(Aランク)は欠品のインパクトも、過剰在庫の資金負担も大きいため、発注点・発注量を丁寧に設定し、毎月のように数値を見直します。中位(Bランク)は標準的な発注点管理、下位(Cランク)はまとめ買いやダブルビン方式といった簡便な方法で十分です。

時間あたり付加価値の視点でも同じことが言えます。Aランク品の欠品で高単価案件が止まれば、失う付加価値は大きい。一方でCランク品に過剰な管理工数をかけるのは、それ自体がムダです。会社全体の利益から逆算して、どこに管理リソースを投下するかを決めます。

ABC分析の考え方そのものは製造業のABC分析で製品ポートフォリオを最適化でも触れていますが、在庫管理に応用するときは「使用金額(=単価×年間使用量)」を縦軸にして分類します。

ABCランク別の在庫管理方針
ランク 金額構成比の目安 管理方法
Aランク 上位品目で金額の70〜80% 発注点・発注量を品目別に精緻に設定、月次見直し
Bランク 次の15〜20% 標準的な発注点管理、四半期で見直し
Cランク 残り5〜10% ダブルビン方式やまとめ買いで簡便管理

仕組み化の5ステップ:データ整備から運用定着まで

発注点管理を仕組みとして根付かせるには、計算式を作って終わりではなく、データの収集から日々の運用、見直しまでを通した設計が必要です。

発注点管理を仕組み化する5ステップ
品目マスタとリードタイムの整備
▶
過去使用実績データの収集
▶
ABCランク分けと発注点・発注量の算定
▶
現場での発注ルール運用
▶
実績データで定期的に見直し

ステップ1は品目マスタとリードタイムの整備です。品目コード、品名、仕入先、調達リードタイム、現在の安全在庫の有無を一覧化します。リードタイムは仕入先の標準値だけでなく、過去実績の最大値も併せて記録しておくと安全在庫の根拠になります。

ステップ2は過去使用実績データの収集です。最低でも半年、できれば1年分の月別使用量があると、季節変動と平均値の両方が見えます。Excelでも構いませんが、月次の出庫データが取れる仕組みがないと、ここで止まります。

ステップ3はABCランク分けと発注点・発注量の算定です。Aランクから着手し、品目ごとに3つの数値を決めていきます。最初から完璧を目指さず、「現状の感覚値」と「計算値」を並べて、大きく違うところから議論を始めるのが現実的です。

ステップ4は現場での発注ルール運用です。発注点に達したことが誰でも分かる仕組み、たとえば在庫管理画面のアラート、棚札の色分け、ダブルビン方式での視覚的サインなどを用意します。担当者の頭の中で判断しない状態を作ることが鍵です。

ステップ5は実績データで定期的に見直しです。月次で欠品件数、在庫回転日数、過剰在庫品目を確認し、発注点・発注量を調整します。需要が変化しても数値だけ書き換えれば対応できるのが、仕組み化の最大のメリットです。

在庫管理全般の手順については製造業の在庫管理の方法でも詳しく触れています。

「会社全体」で見ると在庫削減は目的ではない

ここで一つ注意しておきたいのは、「在庫削減」そのものを目的にしないことです。在庫を減らせばキャッシュフローは改善しますが、欠品で生産ラインが止まれば、会社全体で見たときに失う付加価値の方が大きい場合があります。

判断の軸は、案件単位ではなく会社全体です。「この材料の在庫を減らせば資金が30万円浮く」という話と、「この材料が切れて納期遅延が起きたら、会社全体で200万円の付加価値が消える」という話は、桁が違うことがあります。発注点管理の真の目的は、在庫を減らすことでも増やすことでもなく、会社全体の付加価値(売上 − 外部購入費)を最大化するための在庫水準に整えることです。

この視点で見ると、Aランク品の安全在庫を厚めに設定しつつ、Cランク品の過剰在庫を整理する、という非対称な打ち手が正解になります。全品目を一律に「在庫半減!」と号令をかける改善活動は、しばしば欠品ロスを増やして本末転倒に終わります。

発注点管理が向かない品目もある

ここまでの手順は、繰り返し使う品目を前提にしています。個別受注の現場には、発注点で縛ってはいけない品目が必ず混ざっています。

  • 一品物専用の特殊材。次に同じ材料を使う受注が来る保証がなく、発注点を割っても補充する意味がない
  • 長納期の輸入材や特殊鋼。リードタイムが読めないため、発注点を計算する前提が崩れる
  • 価格変動が大きい材料。いつ買うかの判断が在庫数量とは別の軸で決まる

これらは発注点ではなく、案件ごとに手配するのが正解です。全品目を一律に発注点で管理しようとすると、この例外の処理に現場が振り回されて運用が止まります。

見分け方は単純で、過去1年で2回以上出た品目かどうかです。1回しか出ていない材料に発注点を置いても機能しません。案件単位で材料を手配する考え方は製番管理とは、下限としての緩衝在庫の決め方は製造業の安全在庫の計算方法で扱っています。

システム化で「数値で管理する」を続けられる仕組みに

発注点管理は、Excelでも始められます。ただし品目数が増え、担当者が複数になると、Excelでは「最新の在庫数がどれか分からない」「発注点を変えたのに反映されていない」といった問題が頻発します。

クラウド型の生産管理システムを使うと、入出庫データから現在在庫がリアルタイムに計算され、発注点を下回った品目が自動的に一覧表示される状態を作れます。実績データが自動で蓄積されるので、月次の見直しサイクルも回しやすくなります。重要なのは、ツールを入れることではなく、「数値で管理する」を続けられる環境を整えることです。

弊社が提供しているFactory Advanceは、個別受注生産型の中小製造業向けに、案件管理と在庫の引当・発注点管理を一つのクラウド上で扱える生産管理システムです。入出庫実績と案件別の使用実績がつながるため、「どの案件のために発注したか」「在庫がどの工程で滞留しているか」まで追跡できます。引当や発注点アラートなど在庫まわりの機能は在庫管理機能のページにまとめています。発注点管理の仕組み化からデータ活用までを含めて検討される際は、無料の製品紹介資料もあわせてご覧ください。

まとめ

発注点管理の仕組み化は、欠品と過剰在庫が同居する状態から抜け出すための、最も基本的で効果の大きい在庫改善策です。発注点・発注量・安全在庫の3つの数値をABCランクに応じて設定し、データに基づいて定期的に見直すサイクルを回す。これだけで、担当者の経験に依存しない在庫管理の土台ができます。

そして大切なのは、在庫削減そのものを目的化せず、会社全体の付加価値最大化という視点で在庫水準を判断することです。まずは半年分の使用実績データを集めるところから、始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

製造業の在庫管理の方法|欠品と余剰を防ぐ手順とシステム投資額

製造業の在庫管理とは、材料・仕掛品・完成品の数量と所在を把握し、欠品と余剰の両方を最小化する仕組みのことです。中小製造業の現場では「あの材料、たぶん奥の棚にあったはず」「決算で在庫金額が3割多かった」という問題が同時に起きます。ここでは、システムを入れずに今日から始められる手順から、自動化でできることとできないこと、投資額の目安までを順に整理します。

製造業の在庫管理とは?

製造業の在庫管理とは、単に「在庫数を数える」ことではありません。いつ・どこに・何が・いくつあり、それが誰のどの案件用なのかを把握し、適切なタイミングで発注・引当・棚卸を回す活動全体を指します。

中小製造業では、紙の伝票・ホワイトボード・Excelで在庫を管理しているケースが今も多く、結果として「欠品で生産が止まる」「余剰在庫がキャッシュフローを圧迫する」という両極端の問題が同時発生しがちです。在庫管理の本質は、この両方を同時に解決する仕組みを作ることにあります。

中小製造業の在庫管理が抱える3つの課題

中小製造業の在庫管理現場では、典型的に次の3つの課題が連動して発生します。

中小製造業の在庫管理が抱える3つの課題
# 課題 現場で起きている症状 経営インパクト
1 在庫の所在が分からない 「あの材料、たぶん奥の棚にある」 材料探しのムダ・欠品緊急発注
2 案件への引当が属人化 担当者しか分からない管理状態 担当者が休むと生産停止
3 実在庫と帳簿在庫がズレる 決算で「想定より3割多い」が判明 棚卸ロス・キャッシュフロー圧迫

これら3つの根本原因は、「在庫データが工番(案件番号)に紐づいていない」という1点に集約されます。受注ごとに必要な材料が違う多品種少量生産では、「この材料は誰の何の案件用なのか」が分からないと現場は混乱します。詳しい工番とはもあわせてご参照ください。

システムを入れずに始める在庫管理

在庫管理を調べ始めた段階で、いきなりシステムを検討する必要はありません。道具を入れる前にやるべきことが3つあり、これだけで欠品の大半は減ります。

1つ目は、置き場を決めて名前を付けることです。 棚に番号を振り、材料ごとに定位置を決める。それだけで「探す時間」が消えます。材料を探している時間は原価に乗りませんが、確実に工数を食っています。

2つ目は、全品目を数えないことです。 品目が500点ある工場でも、金額の8割は上位100点ほどに集中しているのが普通です。まず金額上位2割だけを管理対象にしてください。 残りの8割を同じ精度で追おうとすると、始める前に息切れします。

3つ目は、入出庫をその場で1行書くことです。 日次でまとめて記入しようとすると、必ず抜けます。棚の横に用紙を置き、出した人がその場で書く。ここまでは紙とペンで足ります。

上位2割の品目について、いつ発注するかの基準を決める段階になったら、製造業の発注点管理の仕組みと製造業の安全在庫の計算方法で計算方法を扱っています。ここまではExcelでも十分に回ります。

では、どこからExcelでは足りなくなるのか。

手動管理(紙・Excel) システム化(クラウド型生産管理システム)
在庫数を担当者の記憶や紙伝票に依存 ▶ 受注/出庫/入庫を即時データで反映
案件への引当が口頭・付箋・メモ ▶ 受注時に工番に紐づけて自動引当
月末棚卸で大きな差異が発覚 ▶ 差異を都度検知してリアルタイムで補正
材料費の案件別集計は事後にExcelで再計算 ▶ 工番に紐づき自動集計、リアルタイムで原価可視化
担当者が休むと在庫情報がブラックボックス ▶ 誰でも同じデータを参照できる属人化解消

限界の見極めは、次の3つのどれかに当てはまるかどうかです。在庫を触る人が3人を超えた、管理対象の品目が500点を超えた、月末の棚卸差異が3ヶ月続けて出ている。ひとつでも当てはまるなら、Excelの更新が現場の動きに追いつかなくなっています。

在庫管理の3つの基本機能

システム化を考える段階になったら、押さえるべき基本機能は3つです。

在庫管理の3つの基本機能
機能 目的 具体的な動作
発注管理 適切なタイミング・数量で材料を仕入れる 在庫水準・リードタイム・使用実績から発注タイミングを決定
引当管理 受注/着工時に必要材料を確保する 案件(工番)に必要材料を紐づけて確保、余剰流用を防止
棚卸管理 実在庫と帳簿在庫を一致させる 定期/循環棚卸で差異を検出し原価へ反映

中小製造業で特に効果が大きいのは 「引当管理」 です。発注は経験で何とか回せても、引当が曖昧だと「同じ材料をA案件用に確保したつもりがB案件で使われていた」というすれ違いが発生します。これが欠品の最大原因のひとつです。

材料引当の自動化でできること・できないこと

中小製造業の在庫管理で最大の改善余地があるのが 「材料引当の自動化」 です。受注を登録した瞬間に、その案件に必要な材料を在庫から自動で引き当てる仕組みを持つと、在庫管理は大きく楽になります。

受注から消費までの在庫データ一気通貫フロー
受注登録
▶
工番に必要材料を自動引当
▶
不足分を発注
▶
入庫処理
▶
工程で消費

このフローが回ると、欠品の早期検知ができます。受注登録の瞬間に「現状在庫では不足する」が見えるため、納期影響が出る前に手が打てます。同時に余剰の抑制にもつながります。「とりあえず多めに発注しておく」が不要になるためです。さらに引当データが工番に紐づくので、製造原価の材料費が決算を待たずに把握でき、採算管理の精度が一段上がります。

一方で、自動化しても解決しないことがあります。 ここを期待しすぎると、導入後に落胆します。

  • 需要予測はできません。 個別受注生産では過去の実績が繰り返されないため、予測の前提が成り立ちません
  • 現物と帳簿のズレは自動では直りません。 棚卸は人が数える作業として残ります
  • 発注点や安全在庫の数値そのものは決めてくれません。 計算の材料は揃いますが、いくつにするかを決めるのは人です
  • 置き場の整理はしてくれません。 棚番が決まっていない工場では、データ上は在庫があるのに現物が見つからない状態が続きます

つまり自動化が効くのは、「記録と集計と照合」の部分だけです。前述の3つの手順を先にやっておくほど、システムの効果は大きくなります。

在庫管理の不備が生む「見えない損失」

在庫管理の問題は「現場の使い勝手」の話に矮小化されがちですが、実態は経営に直接効く財務インパクトを持っています。

年間売上3億円・材料費比率40%の中小製造業を想定します。常時在庫が想定より3割多い状態で推移しているとすると、過剰在庫金額は約1,200万円 × 0.3 = 約360万円。これがキャッシュを固定しています。さらに、欠品による緊急発注で材料単価が10%上がる案件が月1件あれば、年間で数十万円から100万円の追加コスト。棚卸ロスで毎年数十万円分の死蔵在庫が発生しているケースも珍しくありません。

見落とされやすいのが仕掛在庫です。材料費だけでなく、投入済みの労務費と外注費も工場の中で固定化しています。この計算方法は中小製造業の仕掛在庫削減で扱っています。

これらは気づかないうちに発生している損失であり、決算書では「在庫」「原価」のひとつの数字に丸められるため、原因が分からないまま放置されがちです。

在庫管理システムの投資額の目安

「いくらかかるのか」が分からないと検討が進みません。中小製造業が選ぶ主な選択肢と、おおよその費用感を整理します。

在庫管理を仕組み化する選択肢と投資額の目安
タイプ 初期費用 月額・保守 案件別原価との連動 向く規模
在庫管理だけの単機能SaaS 0〜10万円 月1〜3万円 なし(別管理になる) 品目管理だけで足りる会社
中小製造業向け生産管理クラウド 20〜50万円 月3〜10万円 あり 20名以下の個別受注
業務パッケージの導入 300万〜1,000万円 年間保守15〜20% 製品による 50名以上
フルスクラッチ開発 1,000万円〜 別途 要件次第 特殊要件がある場合

金額は構成や規模で大きく変わるため、あくまで目安です。判断の軸は単価ではなく「何と繋がるか」です。

在庫管理だけを安く導入すると、案件別の原価には繋がりません。結果として、在庫システムに入力した数字を原価計算用のExcelにもう一度打ち直すことになり、入力の手間が増えて総コストは上がります。 月額が2万円安いことより、二重入力が消えることのほうが効きます。

回収の見方も単純です。先ほどの例で過剰在庫が360万円あるなら、そのうち1割を圧縮するだけで36万円のキャッシュが戻ります。月額3万円なら年36万円なので、1年で回収ラインに乗る計算です。ここで見るべきは在庫金額の削減幅だけではありません。材料探しの工数、緊急発注の割高分、月末の棚卸にかかる残業。会社全体でいくら増減するかで判断してください。 在庫だけを見て「減らせた」と評価すると、欠品で工程が止まった損失が見えなくなります。

在庫管理を成功させる5つのポイント

システム化を進める際に押さえておきたい5つのポイントです。

在庫管理を成功させる5つのポイント
# ポイント 陥りがちな失敗
1 経営課題から逆算する 「在庫管理システムを入れる」が目的化する
2 工番(案件)とのデータ紐づけを最優先 在庫データだけ独立し、原価・採算と分断される
3 現場の入力負荷を最小化 現場が記録を嫌がり、データ品質が崩れる
4 スモールスタートで定着確認 全社一斉導入で大混乱を招く
5 棚卸の差異を改善のトリガーにする 差異を毎月諦めて受け入れてしまう

特に重要なのは 「工番とのデータ紐づけ」 です。在庫システムが単独で動いていると、集めたデータが原価管理・採算管理と切り離され、経営判断には使えません。受注 → 引当 → 発注 → 入庫 → 消費 のすべてを同じ工番で貫通させる設計が鍵になります。

「現場の入力負荷を最小化」も実務上の要点です。複雑な入力を押し付けると形骸化します。タブレットでバーコードを読むだけ、受注登録時に必要材料が自動で引き当たるなど、現場が楽になる方向の機能から先に入れると定着します。

Factory Advanceで実現する在庫管理

Factory Advance は、中小製造業の個別受注・多品種少量生産に特化した生産管理クラウドシステムで、上記の在庫管理を工番ベースで一気通貫に実現します。

  • 受注時に工番を自動発行し、必要材料を自動で在庫引当
  • 在庫水準が発注点を下回った材料を可視化し、発注のタイミングを支援
  • 入出庫処理がシステムに即時反映され、実在庫を把握できる
  • 引当データが工番に紐づき、案件別の材料費が自動集計される
  • 棚卸結果を原価データに反映し、差異分析で改善ポイントを抽出
  • クラウド型のため、初期投資を抑えてスモールスタートが可能

引当・発注点・棚卸といった機能の詳細は在庫管理機能のページにまとめています。

「材料探しに時間が取られる」「決算で在庫金額が予想より大きい」「欠品で生産が止まる」。そんなお悩みをお持ちでしたら、まずは無料の製品紹介資料をご覧ください。在庫管理だけでなく、見積から請求までの一気通貫を含めた生産管理システム導入としてもご検討いただけます。

まとめ

製造業の在庫管理は、数を数える作業ではなく、欠品と余剰の両方を防ぎ、案件別の原価・利益にも繋がる経営活動です。

始め方には順番があります。まず置き場を決めて名前を付ける。次に金額上位2割だけを管理対象にする。入出庫はその場で1行書く。ここまでは紙とExcelで足ります。在庫を触る人が3人を超えたか、品目が500点を超えたか、棚卸差異が3ヶ月続いたか。そのどれかに当てはまった時点が、システム化を考えるタイミングです。

システムを入れるなら、判断の軸は月額の安さではなく、案件別の原価と繋がるかどうかです。在庫だけを安く導入すると二重入力が残り、かえって手間が増えます。

今日からできることが1つあります。直近1ヶ月に使った材料を金額順に並べて、上位2割がどれかを確認してください。 その100点前後に置き場と発注のルールを決めるだけで、欠品の大半は防げます。

参考文献