生産管理システムの導入でつまずくポイントとその解決策
「生産管理システムを導入すれば、現場が一気に変わる」そう期待して導入を進めたものの、思ったほど効果が出ず、結局元のやり方に戻ってしまった…という声は少なくありません。
とくに中小製造業では、現場とのギャップや運用ルールの未整備、従業員のITリテラシーの差など、さまざまな理由で導入後につまずくケースが多く見られます。
本記事では、生産管理システムを導入する際に企業が直面しがちな“つまずきポイント”と、それぞれの具体的な対応策を紹介します。
目次
現場が使ってくれない・入力されない
もっともよくある問題は、「導入したはいいが、現場が入力してくれない」というものです。現場作業員にとって、普段の手作業に加えてPCやタブレットでの操作を求められることは大きな負担になる可能性があります。
しかも、システム導入の目的がうまく伝わっていないと、「監視されている」「手間が増えるだけ」と誤解されてしまうこともあります。対策としては、現場を巻き込んだ上での導入設計と、最初からすべての工程を対象にせず、工数入力や作業実績の記録など“ミニマム”から始める段階導入がおすすめです。
解されてしまうこともあります。対策としては、現場を巻き込んだ上での導入設計と、最初からすべての工程を対象にせず、工数入力や作業実績の記録など“ミニマム”から始める段階導入がおすすめです。
生産管理システムが複雑すぎて定着しない
中小企業でよくあるのが、「高機能すぎる生産管理システムを導入して、結局誰も使いこなせない」という失敗です。せっかく導入したのに、現場からは「画面が分かりづらい」「項目が多すぎて何を入力すればいいか分からない」という声が上がることもあります。
この問題の根本には、「業務フローに合っていない」「教育が不足している」といった背景があります。導入前には、業務ごとの入力内容を明確にし、必要な機能に絞って設定する“スモールスタート”が有効です。
現場と事務・経営側で目的がズレている
「現場は工程の見える化」「経営側は原価管理や粗利分析」それぞれ目的が異なると、導入後に機能の使い方や評価ポイントが食い違い、社内に不協和音が生まれます。
このような目的のズレは、初期設計段階で明確なコンセンサスが取れていないことが原因です。現場・事務・経営それぞれの視点で“このシステムで何を実現したいのか”を共有し、それに基づいてシステム選定と運用ルールを設計することが必要です。
パッケージとのギャップで現場運用に支障が出る
パッケージシステムをそのまま使おうとすると、現場の運用にどうしても合わない部分が出てくる場合があります。特に中小製造業では、自社特有の工程や納品形態、原価の計算方法などが存在し、それを無理にシステムに合わせようとすると、逆に現場が混乱し、運用に支障をきたすこともあります。
一方で、カスタマイズを過剰に行うと、設定変更のたびにコストや時間がかかり、柔軟性や将来的な拡張性を損ねるリスクもあります。理想的なのは、“業務とシステムの歩み寄り”を意識することです。重要な業務ルールはカスタマイズで対応しつつ、その他はシステム標準機能に合わせて業務側を調整する。このバランスを取ることで、無理のない運用と、導入効果の最大化が可能になります。
効果が実感できず、やがて使われなくなる
生産管理システム導入直後は使われていたが、数カ月後には誰も見なくなった…というケースも珍しくありません。この背景には、生産管理システム導入の“効果測定”がされていない、または可視化されていないという課題があります。
たとえば、「入力されたデータがどのように経営改善に役立っているか」を社内で共有することで、現場にも“使う意味”が伝わります。定期的にKPIや入力率・進捗精度を可視化し、社内報告会などでフィードバックする仕組みを整えると、利用率の維持に繋がります。
既存のExcel・紙運用と並存してしまう
新しいシステムを導入しても、現場では以前のExcelや紙帳票が使われ続ける…これではシステムの価値が半減します。移行期間が長引くと、二重入力や管理負担が増えてしまい、現場の混乱を招く結果にもなります。
これを防ぐには、「○月○日以降はシステム運用に一本化」という明確なタイミングを定め、必要に応じて一時的に“紙出力できる安心感”を残しながら、徐々に運用の重心を移していくとよいでしょう。
まとめ:生産管理システム導入は“完璧”でなくていい、継続的改善が鍵
生産管理システムは導入しただけでは意味がありません。大切なのは、現場の実情を踏まえながら段階的に改善を続けていくことです。はじめは最低限の入力項目で始め、徐々に活用範囲を広げていくことが、もっとも成功率の高いアプローチだと思います。
FactoryAdvanceのように、カスタマイズが可能で中小製造業の実務に合った機能を備えたクラウド型システムを活用すれば、運用負荷を抑えながらも利益管理・進捗把握・受注対応といった経営課題に着実にアプローチできます。
「まずは現場が使える状態にする」「経営が数字を見える状態にする」
この二つを実現するために、柔軟で段階的な導入をぜひ検討してみてください。
投稿者プロフィール

- 株式会社イーポート代表取締役 ITコーディネーター/キャッシュフローコーチ
- FactoryAdvanceの開発販売を通して製造業の収益改善・DX推進に貢献したいと思っております。中小製造業の企業価値を高めるプラットフォーム「FACTORY SEARCH」の運営も行っています。プロフィールはこちら
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