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作業日報を「作業記録」から「利益データ」に変える

多くの中小製造業では、作業日報が「今日は何をしたか」「どの工程を終えたか」を記録するだけの目的で使われています。

しかし、この日報が「単なる報告ツール」にとどまっている限り、利益改善には直結しません。

実は、作業日報は使い方次次第で、会社の利益を左右する「経営データ」になります。

本記事では、作業日報を「作業記録」から「利益データ」に変えるための考え方と実践方法について解説します。

なぜ作業日報は活かされていないのか?

多くの企業で作業日報が“使えないデータ”になってしまう理由は次のとおりです。

・自由記述形式で内容がバラバラ
・紙やExcelで管理され、集計や分析に手間がかかる
・作業内容の粒度が粗く、どの製品・どの工番かが不明確
・そもそも集計していない(=蓄積されるだけ)

これでは、実際にどの製品に工数がかかっているのか、誰にどれだけ時間がかかっているのかを把握するのは困難です。

作業日報を「利益データ」に変える視点とは?

作業日報を経営に活かすには、次の3つの視点を持つことが重要です。

① 【誰が】【いつ】【どの製品(工番)】に対して何時間使ったか
② それが【見積時点の想定工数】と比較してどうだったか
③ 集計した結果、どの製品・顧客・工程にムリやムダがあるか

つまり、「実績工数を見積と比較する」「工番ごとに集計する」ことができれば、日報は単なる記録ではなく、「利益管理の基礎データ」として活用できるようになります。

実践ステップ①:入力項目の設計を見直す

まずは、作業日報の記入項目を次のように標準化・数値化します。

・工番(案件)
・工程名(切断、溶接、検査など)
・作業時間(開始~終了、またはトータル時間)
・作業者名
・トラブルや作業中断の有無

これらを紙や自由記述でなく、選択式や入力フォームで登録できるようにすることで、後工程の集計作業が格段に楽になります。

実践ステップ②:日報と工番をひも付ける

日報が経営データになるかどうかは、「工番との紐付け」ができているかにかかっています。

工番別に「予定工数」「実績工数」を集計することで、次のような判断が可能になります。

・この製品は見積より30%多く工数がかかっている
→ 原価がぶれている

・○○さんの作業効率が他の人と比べて安定している
→ 標準工数の参考になる

・ある工程に集中して残業が発生している
→ 工程バランスの見直しが必要

こうした情報は、受注判断・見積精度の改善・現場マネジメントに直結します。

工番管理の必要性については、製造業の競争力を高める!受注管理システムと工番管理の重要性をご参照ください。

実践ステップ③:データを蓄積・活用するしくみ

日報は1日分だけでは経営に役立ちません。大事なのは、蓄積された実績を時系列で比較し、経営の判断材料として使うことです。

・毎月、工番別の工数と原価の差異を分析
・顧客別に収益性の傾向を可視化
・標準工数の更新や見積単価の根拠に使用
・慢性的な残業の原因工程を特定

これらはすべて、日報が「数値で入力され、工番ごとに紐付いている」状態であれば可能です。

クラウド化で現場と経営をつなぐ

クラウド型の日報入力ツールを使えば、現場でスマホやタブレットから簡単に入力でき、リアルタイムで経営側が集計結果を確認できます。

また、クラウドであれば以下のような付加価値も得られます。

・過去データの検索が簡単(類似工番の工数参照など)
・従業員ごとの稼働状況や負荷を可視化
・工程毎の工数を集計

作業日報は「経営と現場をつなぐツール」へと進化します。

まとめ

作業日報を「ただ書かされるもの」「記録だけのもの」にしておくのは、非常にもったいないことです。

見積と実績をつなぎ、粗利を守るための「利益データ」として、設計・営業・現場・経理の各部門で活用できる形にすることで、会社全体の利益改善に直結します。

最初の一歩は「紙の日報」から「クラウドで工番別集計」への移行。

御社でもぜひ、作業日報の活用法を見直してみてください。

投稿者プロフィール

尾畠悠樹
尾畠悠樹株式会社イーポート代表取締役  ITコーディネーター/キャッシュフローコーチ
FactoryAdvanceの開発販売を通して製造業の収益改善・DX推進に貢献したいと思っております。中小製造業の企業価値を高めるプラットフォーム「FACTORY SEARCH」の運営も行っています。プロフィールはこちら